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■タイトル
ヒロイン専用マッサージ ヴィクトリーウーマン編 [No.11887]
■プロット
作品コンセプト
無敵に見えるヒロインでも、長年戦い続ければ
心身に疲労は蓄積していくはず。
そんなヒロインたちを支える「ヒロイン専用マッサージ」が
あってもいいのではないか、そんな発想から生まれた物語です。
あらすじ
怪人との戦いを終えたヴィクトリーウーマンは
自身の身体にこれまでにない異変を感じ始める。
限界を迎えた彼女が辿り着いたのは
「ヒロイン専用・エネルギー回復マッサージ」の店。
心身を癒やしてくれるその場所は、彼女にとってかけがえのない
安らぎとなっていくが、その出会いは思いもよらぬ運命へと
繋がっていく。
ACT-1
街を襲う怪人を前に、ヴィクトリーウーマンは今日も戦っていた。
怪人との戦いは、いつもなら数分で終わる。
ヴィクトリーウーマンにとって、この程度の怪人は苦戦する
相手ではない。
いつものように怪人の攻撃を見切り、軽く躱した――はずだった。
「……っ」
頬に熱が走る。浅いが、確かに当たっている。
あり得ない。
だが思考を切り捨て、踏み込みと同時に右拳を叩き込む。
鈍い衝撃。
続けざまの一撃で怪人の身体が弾け、爆散した。
静寂。
「……はぁ、はぁ……っ」
呼吸が荒い。勝利の後とは思えないほどに。
動きに乱れはなかった。
だが、わずかな遅れがあった気がしてならない。
(今の……)
首を振る、そんなはずはない。
現場を離れ、公園のベンチに腰を下ろす。
人の気配はない。
張り詰めていた緊張が緩んだ、その瞬間
「――っ、は……!」
全身を重さが襲った。
筋肉の奥から広がる鈍い熱。
蓄積された疲労が一気に表に出る。
腕も脚も鉛のように重く、呼吸だけが空回りする。
「……身体が、言うことを聞かない……」
掌がわずかに震えている。
長年の戦い。
その負荷が、今さらのようにのしかかってくる。
(まさか……)
脳裏をよぎる考えを、即座に否定する。
「違う……」
自分が止まれば、この街はどうなる。
守ると決めた。そのために戦ってきた。
立ち上がろうとする。
その瞬間、腰に鋭い痛みが走った。
「……っ!」
膝が崩れ、ベンチに手をつく。
呼吸が乱れ、視界がわずかに揺れる。
(まずい……このままじゃ……)
次は、勝てない。
その時、風が吹き抜けた。
足元に一枚の紙が滑り込み、ブーツに当たって止まる。
『ヒロイン専用・エネルギー回復マッサージ
蓄積された疲労をリセットし、再び戦場へ』
「……何よ、これ」
小さく笑う。あまりにも都合がいい。
そんなものに頼るつもりはない――はずだった。
視線を逸らし、もう一度立ち上がろうとする。
「……っ、あ……」
痛みで力が抜け、再び膝が落ちる。
地面に手をついたまま、動けない。
沈黙。
やがて、ゆっくりと視線が足元へ落ちる。
チラシ。
「…………」
逡巡。
プライドが拒む。
だが現実が、それを許さない。
震える指先が、紙へと伸びた。
「……今は、意地を張っている場合じゃないわ」
それが言い訳なのか、決意なのか。
自分でも分からないまま――彼女はチラシを拾い上げた。
ACT-2
簡素な看板。人気のない通りの一角に、その店はあった。
チラシに書かれていた住所と一致している。
「……ここ、なのね」
外観は拍子抜けするほど普通だった。
怪しさは消えないが、逆にそれが現実味を帯びている。
扉を押す。
鈴の音が、静かに鳴った。
「いらっしゃいませ」
落ち着いた声。
出迎えたのは、柔らかな物腰の男だった。
「ヴィクトリーウーマン様ですね。どうぞ、こちらへ」
迷いはあった。
だが引き返す理由も、もう残っていない。
彼女は無言で頷き、奥へと通される。
薄暗い施術室。
ほのかに香るオイルの匂い。
促されるまま、ベッドに横たわる。
「かなりお疲れのようですね」
男の指が、背中に触れた。
「……っ」
思わず息が漏れる。
押された箇所から、じんわりと熱が広がっていく。
筋肉の奥に溜まっていた硬さが、ゆっくりとほどけていく感覚。
それは休息でも得られなかった種類の緩みだった。
「力を抜いてください」
言われるままに、彼女は肩の力を落とす。
それだけで、さらに深く沈み込むような心地よさが広がった。
(……軽い)
さっきまでの重さが、嘘のように薄れていく。
背中、腰、脚。
丁寧に、正確に、疲労の溜まった箇所をなぞるように指が滑る。
「……どうして、分かるの」
「長く戦っている方ほど、負担の出る場所は似ていますから」
淡々とした答え。
だが、その指は的確だった。
やがて、身体を仰向けにされる。
一瞬だけ、ためらいがよぎる。
だが、ここまで来て拒む理由もない。
「呼吸を、整えて」
胸元へと手が伸びる。
デコルテに触れられ、わずかに身体が強張る。
「……そこは、別に」
言いかけて、止まる。
指先が、ゆっくりと圧をかける。
それだけで、胸の奥に溜まっていた息苦しさが抜けていく。
「……っ」
否定しかけた言葉が、消えた。
(楽に、なる……)
戸惑いはある。だが、それ以上に効果がはっきりしていた。
やがて施術が終わる。
「ゆっくり起きてください」
身体を起こす。
その瞬間、彼女はわずかに目を見開いた。
「……軽い」
立ち上がる。
さっきまで感じていた重さも痛みも、ほとんど残っていない。
拳を握る。反応が速い。鈍りがない。
「一時的なものではありません。
エネルギーの流れも整えていますので」
男は穏やかに言った。
疑いは、まだ消えていない。
だが
(これは……使える)
戦える。今なら、確実に。
「……また、来てもいいの?」
気づけば、そう口にしていた。
「もちろんです。いつでもお待ちしております」
その笑みを、彼女は正面から見つめる。
「……ありがとう」
その言葉と共に、彼女は店を後にした。
身体は驚くほど軽い。
(これなら……)
再び戦場へ向かう足取りは、確かだった。
ACT-2
その日の戦闘は、驚くほどあっさり終わった。
怪人の動きが遅く見える。
踏み込みも、回避も、すべてが噛み合う。
拳を叩き込んだ瞬間、確信する。
(戻ってる……いや、それ以上だわ)
爆散する怪人を前に、彼女は静かに息を吐いた。
身体は軽い。呼吸も安定している。
あの店の効果は、本物だ。
否定しようのない事実だった。
数日後。
気づけば、彼女は再びその通りに立っていた。
「……様子を見るだけ」
誰に言うでもない言い訳。
だが足は止まらず、そのまま扉の前へと進む。
一拍だけ、間を置く。
それから、扉を押した。
鈴の音。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
男は前回と同じ笑みで迎えた。
「……常連になるつもりはないわ。ただ」
「ええ。お身体の調整ですね」
言葉を遮られ、彼女はわずかに眉をひそめる。
だが否定はしない。
再び、施術室へ。
ベッドに横たわると、すぐに指が触れてきた。
「……っ」
前回よりも、感覚がはっきりしている。
押されるたびに、熱が奥へと沈み込んでいく。
背中、腰、脚。
疲労は確実に抜けていく。
それだけで終わるはずだった。
だが。
「……」
腰から、太ももへ。
指の動きが、わずかに内側へ寄る。
境界に触れるか触れないかの位置。
「……そこは」
口を開く。
だが、その瞬間。
じわり、とした感覚が走る。
今までとは違う、微かな刺激。
だが不快ではない。
「……っ」
息が、わずかに乱れる。
(違う……これは)
理性が警鐘を鳴らす。
必要のない施術だと、分かっている。
だが、指は止まらない。
ゆっくりと、確かめるように。
境界をなぞる。
「力が入っていますよ。抜いてください」
静かな声。
「……必要、ないでしょ……そんなところ」
言葉は弱い。
拒絶しきれない。
「全身の巡りを整えるためです」
淡々とした返答。
正しいのかどうか、判断がつかない。
ただ
身体は、正直だった。
「……っ、ん……」
わずかに、反応する。
それを自覚した瞬間、顔が熱くなる。
(何を……)
だが、止めない。
止める理由はある。
だが、それ以上に
(この感覚を……拒めない……)
その感覚が、すべてを上回る。
やがて、仰向けにされる。
一瞬の躊躇。
だが、身体はすでに彼の手に委ねられていた。
「次は、上半身の巡りを整えます。今日は少し、圧がかかりますよ」
男の低い声と共に、デコルテから胸元へと掌が広がる。
(……ダメ……)
男の指はさらに深く、胸の曲線へと踏み込んだ。
「……っ、あ……」
滞っていたリンパを流す、執拗な円運動。
「かなり凝っていますね。呼吸が浅い原因はここです」
「あ……ぅ、ん……っ」
本来、決して他人に触れさせてはならない聖域。
だが「回復」という果実に、境界線が曖昧になる。
指が特定のポイントを突くたび
彼女の背中はベッドから浮き上がり、思考は霧散していった。
「力が……入ら、ない……」
「それでいいんです。今は重荷を降ろしてください」
男の掌が、スーツ越しに胸の重みを包み込み
ゆっくりと圧をかける。
その瞬間、彼女の喉から甘い喘ぎが漏れた。
男の手は、さらに下へ滑り鼠径部へ
「……っ、あ……」
力強い圧。
溜まっていた重みが無理やり流される痛痒さに、腰が小さく跳ねる。
男の指はさらに内側、際どい境界線へと踏み込んできた。
指の腹がスーツの端を掠める。熱を帯びた指先が
柔らかな肌を執拗になぞる。
(……え?……そこ、は……)
抗議しようとした、その瞬間。
「あ……っ、ん……!」
男の親指が、彼女の最も敏感な場所に、深く、確かに触れた。
(嘘……今、わざと……?)
疑念を置き去りに、男の指はストロークの中で
何度も「そこ」を掠めていく。
「あ、ぅ……ん……っ、や……め……」
拒絶とは裏腹に、身体は刺激を求めて腰を浮かせてしまう。
皮肉にも、この背徳的な刺激こそが
彼女の疲弊した感覚をかつてないほど鋭敏に蘇らせていた。
「……っ、ふ……ぁ……っ」
やがて、男の手が離れる。
「お疲れ様でした。これで次はもっと楽に戦えるはずです」
男は事もなげに言い、タオルを差し出した。
しかし、彼女はすぐには動けない。
股間に残る熱と、脳を包む甘い霧が
彼女をベッドに繋ぎ止めていた。
「……え?」
掠れた声が漏れる。
潤んだ瞳で、無意識に男を覗き込んでいた。
「……もう、終わりなの?」
「……そうですけど。何か、不手際でも?」
男の純粋で事務的な反応が、冷水のように彼女を現実に引き戻す。
「あ……っ」
自分だけが、マッサージを超えた「先」を期待していた。
その事実に顔が一気に熱くなる。
「い、いえ……何でもないわ。
身体が軽くなったから、驚いただけよ!」
取り繕い、逃げるようにベッドを降りる。
マスクを整える手も、呼吸も、まだ震えている。
「……失礼するわ」
店を飛び出し、冷たい夜風に当たっても
身体の奥の疼きは消えない。
メンテナンスのはずが、自分から「先」を望んでしまった。
その不甲斐なさを自覚しながらも
彼女はすでに、次の「鈴の音」を強く待ち望んでいた。
ACT-3
気づけば、訪れる間隔は短くなっていた。
戦いの後ではない。
戦いの前にも、足が向くようになっていた。
「調整のため」
そう言い訳しながら、彼女は今日も扉を押す。
鈴の音。
「いらっしゃいませ」
変わらない声。変わらない笑み。
それだけで、わずかに肩の力が抜ける自分に気づく。
「……少し、早いけど」
「ええ。問題ありません」
それ以上は何も問われない。
その距離感が、心地よかった。
ベッドに横たわる。
指が触れる前から、身体がそれを待っているのが分かる。
(私は、何を……)
思考を打ち消すように、目を閉じる。
背中に触れられる。
「……っ」
わずかな刺激でも、はっきりと反応してしまう。
前よりも、確実に。
「随分、ほぐれやすくなっていますね」
「……そう」
短く返す。
だが、それが何を意味するのか、理解している。
慣れてしまっている。
身体も、意識も。
やがて仰向けにされる。
躊躇は、もうほとんどない。
胸元に触れられる。
デコルテから、ゆっくりと下へ。
「……っ、ん……」
息が漏れる。
以前なら押し殺していた反応が、隠しきれない。
指の動き一つで、身体が素直に応えてしまう。
(違う……これは……)
分かっている。
だが、止める理由が見つからない。
「力が抜けていますね」
「……その方が、いいんでしょ。
仕事がしやすいように、してあげてるのよ」
だが、その言葉とは裏腹に
男の指先を招き入れるように弛緩していた。
「失礼します。ここが一番、呼吸を妨げていますから」
「……っ、ふ……あ……」
乳腺の周囲を、逃げ場を塞ぐように丹念に
力強く円を描いて解きほぐしていく。
(……おかしいわ、こんなの……)
解きほぐされるたびに、脳裏に火花が散る。
だが、男の指はそこで止まらない。
円を描く軌道が徐々に狭まり
もっとも敏感な「先端」へと吸い寄せられていく。
「あ……そこ、は……」
制止の言葉の前に、男の指先が、その一点を捉えた。
「っ……!? あ、はぁ……っ!!」
指先が先端を軽く弾き、あるいはじっくりと圧を加えるたび
気持ちよさに悶える。
(嘘……私、何に反応して……っ)
以前なら「偶然」だと言い聞かせられた。
だが、今の刺激はあまりにも執拗だった。
乳腺を刺激され、先端を弄ばれるたびに
熱く湿った吐息が漏れ出す。
「……感じていらっしゃいますね。身体が、素直になっています」
「……っ、うるさ……い……っ」
否定したい。
だが、指が触れるたびに、彼女の腰は無意識に浮き上がり
次の刺激を求めて男の手を追ってしまう。
「あ、ん……あぁ……っ! だめ……それ、は……っ」
身体が大きく跳ねる。
呼吸は乱れ、スーツの下の筋肉は微かに震え続けている。
男は何も言わず、その手を太ももの付け根、鼠径部へと滑らせた。
「……っ、あ……」
強引に、しかし正確にリンパを押し流す掌の圧。
滞っていた熱が無理やり回され、頭の芯が痺れる。
その最中だった。
男の親指の腹が、ふとした拍子に、微かに「そこ」を掠めた。
「あ……っ!? は、あ……っ!!」
身体を貫く電撃。
前回と同じ。あの、わざとなのか偶然なのか分からない、
(……やめ、て……)
言葉にならない。
それどころか、あろうことか彼女は無意識に腰を浮かせ
自ら男の親指に当たるようにその場所を擦りつけにいってしまった。
「……っ、ん、あぁ……っ!」
止めなきゃいけない。
だが、親指が微かに触れるたびに、長年の疲労で凍りついていた
細胞が歓喜に震え、脳が「もっと」と叫び声を上げる。
何度も、何度も、自ら腰を振り
親指の硬い感触を迎え入れてしまう。
もはや、それがマッサージの工程なのか
自分が何をしようとしているのか、境界線すら分からない。
(私、何を……何をしてるの……っ)
彼女の腰はもはや自分の意志とは無関係に、男の親指を追い
浅く、速いリズムを刻み始めていた。
指の腹が微かに触れるたび
下腹部を突き上げるような熱い震えが広がる。
(くる……っ、もう……っ!)
その瞬間
指先が離れた。
「え……っ!?」
「…………お疲れ様でした」
男の、どこまでも淡々とした、事務的な声。
「あ……ぅ、あ……」
羞恥はある。だが、それ以上に
(……欲しい)
耐えられない。この疼きを、中途半端なままで放置されるなんて。
「……今の」
思わず声が漏れる。
「どうかしましたか」
男は手を止め、不思議そうにこちらを振り返った。
「……延長、は……できないの?」
「……本来、本日は予約が詰まっておりまして。
ですが、ヴィクトリーウーマン様は特別なお客様ですから。
少し時間を融通いたしましょう」
「……っ、あ……」
特別。その響きが、彼女の心に浸透する。
「ありがとう……。じゃあ、その……」
彼女は熱を帯びた瞳を伏せ
震える指先で自らの腰のあたりを指し示した。
「……さっきのところ。もっと、奥まで……お願い、してもいい?」
「……鼠径部から、中心にかけての調整ですね。承知いたしました」
男はベッドに横たわる彼女の脚をゆっくりと左右に開かせる。
再開された指先は、先ほどよりも深く、執拗に「そこ」を捉えた。
「あ……っ、ん……あぁ……っ!」
(声が……出ちゃう……っ!)
彼女は震える自分の手を口元に持っていき
人差し指と中指を、深く、自らの口の中へと差し込んだ。
「ん、む……ぅ、んん……っ!!」
溢れ出しそうな喘ぎ声を、自分の指を噛むことで必死に殺す。
マスク越しに見える瞳は潤み、焦点は定まらず
口元からは自分の指を伝って熱い吐息が漏れる。
「あ……はぁ、ん……ぅ……っ!」
男の親指が、彼女の最も柔らかな部分をぐりぐりと抉るように
回される。
スーツの股間からは、溢れ出した蜜が指の動きに合わせて
湿った音を立てていた。
指をくわえたまま、彼女の腰は激しく
リズムを刻んで跳ね続けた。
「もう駄目……っ! もっと……もっと強く……っ!」
「承知いたしました」
男の返答と共に、親指がさらに深く
容赦のない圧で「そこ」を擦り上げる。
「あ、あぁぁぁぁぁ……っ!!」
身体が弓なりに反り、激しく痙攣する。
やがて、指が静かに離れる。
「…………お疲れ様でした」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
しばらくしてから、起き上がる。
視界が少しぼやける。
だが不快ではない。むしろ、心地いい。
「……ねえ」
気づけば、彼女の方から声をかけていた。
「はい」
「どうして……こんなこと、してくれるの」
自分でも分からない問いだった。
男は少しだけ考え
「あなたは大事な人なのです」
静かに、そう答えた。
「……大事……」
その言葉が、胸の奥に落ちる。
戦いの中で、必要とされることはあった。
だがそれはヒロインとしてだ。
今は違う。
(私が大事……?)
「無理をしすぎていますから」
続けられる言葉。
「こうしている時くらいは、何も背負わなくていい」
「……っ」
その一言に、思考が止まる。
戦わなくていい時間。
ヒロインでいなくていい時間。
そんなもの――考えたこともなかった。
店を出る。
足取りは、いつもよりゆっくりだった。
(特別……大事……)
その言葉が、頭から離れない。
身体の感覚も、まだ残っている。
だが、それ以上に
胸の奥が、温かい。
「……変ね」
小さく呟く。
ただ施術を受けているだけのはずなのに。
戦いの後よりも、満たされている。
(あの人といると……)
そこまで考えて、足が止まる。
「……何を、考えてるの」
これは違う。
そう思うのに
否定しきれない。
再び歩き出す。
だがその足は、もう理解していた。
次にこの店を訪れる理由が、
戦うため、だけではなくなっていることを。
ACT-4
ヴィクトリーウーマンはある決意を胸に店を訪れた。
鈴の音。
「いらっしゃいませ」
変わらない声。
それを聞くだけで、胸の奥がわずかに緩む。
「……今日は、調整じゃないの」
自分でも曖昧な言い方だった。
男は一瞬だけ彼女を見つめ、静かに微笑む。
「分かっています」
それ以上は何も聞かない。
その優しさが、心地よい。
施術室。
いつものようにベッドに横たわる。
指が触れる。もう拒む理由はどこにもない。
身体は素直に反応する。
呼吸も、思考も、すぐに緩んでいく。
「……ねえ」
ふと、彼女が口を開く。
「はい」
「前にあなたは私を大事と言っていたけど、どういう意味?
それは平和を守るヒロインとして、という事?」
問いは、自然と零れたものだった。
男は少しだけ沈黙し
「いえ、違います」
静かに答える。
「……じゃあ、なに?……」
男は迷いながらも
「……一人の女性として、です」
「……っ」
その言葉に、胸が強く鳴る。
ヒロインだからではない。
戦えるからでもない。
「世界を救うヴィクトリーウーマンではなく
ここで羽を休めている、あなた自身。
その震える指先も、無理をして作る凛とした声も……。
私は、そのすべてを守りたいと思ってしまった」
男の手が、いつものマッサージのそれとは違う
熱を帯びた愛おしむような手つきで彼女の頬をなぞる。
「……不謹慎ですよね。平和の象徴に、こんな想いを抱くなんて」
「……そんなこと……」
否定しようとした彼女の声は、歓喜で震えていた。
戦う道具としてではなく、守るべき象徴としてでもなく。
ただの「私」を見つめてくれる人がいた。
その事実が、長年の孤独に凍えていた彼女の心を
一瞬で溶かしていく。
「その全部を、知りたいと思っています」
「……っ」
思考が揺れる。
拒む理由はある。
だが、拒みたくない理由の方が、もう大きい。
男がゆっくりと顔を近づける。
彼女は拒むどころか、吸い寄せられるように、自ら瞳を閉じた。
触れ合う、唇。
「……んっ、んむ……」
喉の奥をまさぐられるたび、彼女の指先はシーツを強く掴み
抗えない悦びに震えた。
男の手が、彼女のスーツの上から、その柔らかな膨らみを捉えた。
「あ……っ、はぁ……っ! ん、んん……っ!」
しなやかなスーツ越しに伝わる、男の掌の熱。
逃がさぬように力強く、それでいて愛おしむように
揉みしだかれるたび、彼女の鼻にかかった甘い声が漏れる。
やがて男の指先が先端へと伸びた。
優しく転がし、そしてじっくりと指先でつまみ上げる。
「あ、はぁ……っ! んん……っ、あ……ぁ……っ」
唇を重ねたまま、身体が大きく跳ねる。
(……ああ、私……本当の自分に、戻ってる……)
マスクの下で、彼女の瞳は熱く潤い
かつての鋭い眼光は跡形もなく消え去っている。
正義を背負うヴィクトリーウーマンの重圧から解き放たれ
ただ一人の男の愛撫を貪る無防備な女性がそこにいた。
「……綺麗だ。その震えも、求めてくる熱も」
耳元で囁かれる甘い言葉が、彼女の理性を完全に麻痺させる。
今なら、何を言われても断れない。何でも差し出してしまう。
「……お願い。もっと……もっと、私を……っ」
ゆっくりと、彼は彼女を仰向けに寝かせた。
男の手が、彼女の太ももの付け根、鼠径部へと滑り落ちた。
温かな掌が、スーツの冷たい質感の上から
彼女の股間をゆっくりとなで上げる。
「あ……っ、ん……あぁ……っ!」
やがて男の指先が、スーツのハイレグの境界線に触れた。
指先を滑り込ませ、その生地をゆっくりと横へずらしていく。
「あ……それは、だめ……っ……ん、んん……っ!」
拒絶の言葉は、熱い吐息にかき消される。
露出したもっとも柔らかな部分に、男の指が直接触れた。
指先が、彼女の芽を捉える。
優しく転がし、そしてじっくりと圧を加えるたびに
身体を貫くような衝撃が走る。
以前のマッサージとは明らかに違う
彼女を一人の女性として喜ばせるための、正確な愛撫。
「あ、はぁ……っ! ああぁ……っ!!」
そして、男の指がその奥へと。
「っ……!? あ、ん……ぁ……っ、んん……っ!!」
内側から直接突き上げられる、かつてないほど鮮烈な感覚。
侵入してくる指の動きに合わせて、彼女の身体は淫らな
リズムを刻み、湿った甘い喘ぎが漏れ出す。
(ああ……私、もう……戻れない……っ)
「……信じて、いいのよね……?」
「ええ。あなたはもう、一人で戦う必要はありません」
「……来て、貴方と一つになりたいの」
男がゆっくりと、彼女の身体に覆いかぶさる。
剥き出しになった柔らかな肌に
男の熱い「それ」が押し当てられる。
「っ……あ、はぁ……っ!」
男は無言で、力強く腰を叩きつけた。
激しいピストンが、彼女の内側の最も敏感な一点を、こすり上げる。
「あ……っ、ん、んん……っ!!」
男が腰を振るたびに、熱い衝撃が脳を突き抜ける。
「あ、はぁ……っ! あぁぁ……っ!!」
内側からせり上がる熱に耐えきれず、
彼女は自ら腰を跳ねさせ、その激しいリズムを積極的に迎え入れる。
「……っ、あ……あぁぁ……っ!」
「ねえ……もっと……っ、もっと激しく……っ!」
「……もっと、奥まで……突いて……っ、お願い……っ!!」
男はそれに応えるように、さらに深く
容赦のない速度で腰を叩きつけた。
「あ……はぁ、ん……ぅ……っ、あ、あぁぁぁぁぁ……っ!!」
彼女は男の背中に回した腕に力を込め
縋り付くようにその耳元で喘いだ。
「もう……だめ……っ、いっしょに……
いっしょに、いかせて……っ!!」
愛の告白にも似た、切実な懇願。
極限まで高まった緊張が、一気に臨界点を超える。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁ…………っ!!!」
全身を貫く激しい痙攣。
ヴィクトリーウーマンは、信じ切った男の腕の中で
魂をすべて差し出すように激しくのけぞり、
そのまま真っ白な絶頂の底へと沈んでいった。
その後、ヴィクトリーウーマンは男の腕の中で眠っていた。
その顔は幸福感に包まれた顔だった。
男はヴィクトリーウーマンに語りかける。
「……一つ、お願いがあります」
「……何?」
「あなたの素顔を、見せてほしい」
空気が止まる。
「それは……」
即座に否定しようとして、言葉が詰まる。
マスクは力の源。
それを外すということは――無防備になること。
「無理にとは言いません」
男の声は、あくまで穏やかだった。
「ただ……あなた自身を、知りたい」
その言葉が、深く刺さる。
ヒロインではない自分。
誰にも見せたことのない部分。
(この人なら……)
一瞬の逡巡。
だが、その迷いは長くは続かなかった。
「……少しだけよ」
震える指が、マスクに触れる。
外してはいけない。
分かっている。
それでも――
「あなたになら……」
その言葉と共に、マスクを外す。
「……綺麗だ」
男が呟く。
その言葉に、顔が緩む。
次の瞬間。
――手首を掴まれた。
「……え?」
反応が、遅れる。
マスクが、奪われる。
「なっ……!」
身体が動かない。
一瞬の硬直。
その隙を、完全に突かれる。
男は距離を取り、口元に歪んだ笑みを浮かべた。
「やっと、外したか」
声が変わる。
低く、冷たい響き。
「……何を……」
理解が追いつかない。
男の背後に影が現れる。
複数の気配。
そこに現れたのは――怪人。
「な……っ」
思考が、止まる。
「長かったよ。お前がマスクを外すのをな」
怪人が、そう言って笑う。
「……最初から、これが目的だったの?」
震える声で問い返す。
「当然だ。」
怪人は肩をすくめる。
「お前を倒すだけなら、数で押せばいい、
だが、それでは我が軍の〇〇も甚大になる。」
「だから、お前の心を狙ったのさ」
「身体から堕ちたやつはな、心もすぐだ。」
「……っ……」
息が詰まる。
理解する。
すべてが、繋がる。
「……最初から……騙して……」
「そうだ」
冷たい笑み。
「どんな英雄にも、心を休める場所は必要だ。」
「俺たちは、その隙を待ち続けただけだ。」
「……嘘……」
否定しようとして、言葉が出ない。
身体が、重い。
あの時と同じ――いや、それ以上に。
(動けない……)
マスクがない。
力が、引き出せない。
「さあ、終わりだ。」
怪人たちが迫る。
構えようとする。
だが――遅い。
判断も、反応も。
「……っ!」
一撃を受け、身体が弾かれる。
床に叩きつけられる。
(立たなきゃ……)
分かっている。
だが身体が応えない。
(戦わないと……)
理由も、使命も、あるはずなのに。
胸の奥に残っているのは――
裏切られた感覚と、空虚だけ。
自然と涙があふれだす
「どうした?ヴィクトリーウーマン、泣いてるのか?」
嘲る声。
「なんだよ、怖いのか?笑わせるぜ」
「……っ……」
怖いわけじゃない。
恋をしていた。
だからこそ、裏切られた痛みが、涙になってあふれていた。
拳を握る。
だが、力が入らない。
(私は……)
ヒロインなのに。
守るはずだったのに。
「……なんで……」
掠れた声が漏れる。
それは、敵に向けたものではなかった。
「ははっ、いい顔だ」
怪人が笑う。
「そうだ、そのまま壊れていけ」
次の一撃が振り下ろされる。
避けられない。
理解しているのに、身体が動かない。
そのまま――
ヴィクトリーウーマンは、崩れ落ちた。
完
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