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ごー
ごー
タイムアスモデウス
Katherine
名無しさん
ボンバーパンク
■タイトル 

ヒロイン・イフ~勝利と敗北の分岐点~ [No.11016]

■プロット
(概要)
 
正義の女戦士は、一体、何処で選択を間違えたのか…?
地球の平和を守るワンダーレディ(以下WL)。悪の組織ダークドレインとの熾烈な闘いは、いよいよ佳境に入っていた。WLがダークドレインの最高幹部Dr.サイコを追い詰めたまさに、その時だった。Dr.サイコの口から出たのは、最強怪人ギガンデスの存在だった。
その瞬間、WLの前に2つの結末が現れる。『正義の戦士としての使命を全うするか』『プライドが邪魔をして、自分のエゴに溺れてしまうか』それは、WLにとって『輝かしい完全勝利』と『惨めでブザマな完全敗北』の分岐点となるのだった。

(登場人物)
 
WL
地球の平和を守る正義の女戦士。圧倒的な戦闘能力で敵を倒してきたため、プライドが高く、自信家の一面がある。懸念材料としては、これまで圧勝を重ねてきたため、接戦の経験がない。追い詰められた時の精神力に関しては未知数である。

Dr.サイコ
地球侵略を企む悪の組織ダークドレインの最高幹部。WLの前に敗北を重ね、壊滅寸前にまで追い詰められている。最期の切り札として自身最高傑作の怪人ギガンデスを開発している。

ギガンデス
Dr.サイコの生み出した最強怪人。完全体はWLを凌ぐ程の戦闘能力を持っている。


(共通パート)

WLは地球を守るスーパーヒロインだ。その圧倒的な強さで地球侵略を企む悪の組織『ダークドレイン』をなぎ倒してきた。
長期戦となっていたダークドレインとの闘いは、いよいよ佳境を迎えていた。
遂にWLはダークドレインの最高幹部であるDr.サイコを追い詰めていたのだ。
「Dr.サイコ!!アナタもいよいよ終わりね!!自首するか、ここで私に倒されるか、好きな方を選びなさい」
WLは高圧的な態度でDr.サイコに問い詰める。
「く、くそぉっ…!!あと少しだったのに…!!あと数日で最強の怪人を完成させる事ができたのに…!!そうすれば、貴様ごときに…」
「はぁ?」
ふと、WLが苛立った表情を見せる。
「負け惜しみもいい加減にしなさい。これまで、私がどれだけのガラクタ怪人を処分してきたと思ってるの?この宇宙最強の私に勝てる訳ないでしょ!!」
その言葉にDr.サイコはニヤリと笑みを浮かべた。元々、WLはプライドが高く、好戦的な性格である。そのWLを挑発に乗せる事に成功したからであった。

(完全勝利パート1)

「クックック…。我が最強怪人ギガンデスの前では貴様など虫けら同然だ…。蝿のように叩き潰してやるわい」
「…蝿ですって…?」
Dr.サイコの言葉にWLはムッとする。
その時だった…。
ふとWLは我に返る。
『…私は正義の戦士…!!私の使命はダークドレインを壊滅させて、地球の平和を守る事よ…!!』
冷静さを取り戻したWLは大きく頷いた。
「Dr.サイコ!!私がその手に引っ掛かるとでも思った?
「なっ…!?」
「観念しなさい!!グロリアス・ロック!!」

ガシィィッ…!!!!

WLが放った光の輪がDr.サイコを〇〇する。
「ま、待ってくれ…!!俺が悪かった!!金ならいくらでも払うから!!待ってくれ!!!!」
身動きのとれないDr.サイコが必死に訴え掛ける。慌てふためくDr.サイコを見て、WLは冷淡な笑みを浮かべた。
「檻の中で反省しなさい。スペースプリズンへ転送!!」
WLがスイッチを押すと、Dr.サイコは悲鳴をあげながら、宇宙の彼方にある惑星ジャスティスへと高速転送されたのだった。
「この闘いも、あと、もう少しね…」
WLはクールな表情で空を見上げ、そう呟いた。

(完全勝利パート2)

Dr.サイコの逮捕を受け、ダークドレイン内部には激しい動揺が走っていた。
「もうダメだぁ!!俺達じゃ勝てる訳ない!!降参しよう!!」
「何を言ってる!!俺達にはまだ、切り札が残ってるだろ!!」
戦闘員達は一斉にDr.サイコが開発途中であった最強怪人ギガンデスに目を向けた。
「…だ、大丈夫なのか?まだ、完全体じゃないんだろ?」
ギガンデスの収容装置には『70%』と表示されていた。
「…要するに、あと30%分は未完成って事だよな?」
「WLに勝てるのか?」
「でも、俺達はこれに賭けるしかないだろ?それに作戦だって考えてる。大丈夫!!きっと上手くいく!!」
戦闘員は自分を奮い立たせるかのように、そう言った。

(完全勝利パート3)

数日後、Dr.サイコはダークドレインのアジトの場所を自白する。報告を受け、WLはアジトへ向かっていた。
『いよいよ、最期の決戦ね…』
WLはさらにスピードを上げる。雲を突き抜け、ジェット機を追い抜いて行くのだった。

(完全勝利パート4)

ドゴォォォン!!!

ダークドレインのアジトの天井を突き破り、WLが登場する。
「WL…!!」
「ギガンデスを起動しろ!!急げ!!」
「もう少しだ!!時間を稼げ!!」
突然のWLの登場に戦闘員達は動揺を隠せない。
「お粗末ね…」
WLはため息をつき、呆れたような口調でそう言った。
「皆で掛かるんだ!!うぉぉぉぉぉっ!!!!」
戦闘員達は玉砕覚悟で一斉に襲い掛かった。

ドゴォッ…!!

バギィッ…!!

ガスゥッ…!!

「ぐへぇ〜!!」

しかし、戦闘能力の差は歴然だった。戦闘員達は次々となぎ倒され、遂に残り1人となった。
「さぁ、あとはアナタだけね」
「ひっ…!!」
最後の戦闘員が腰の引けた構えをとる。
「自首するなら、観念してあげるわよ」
「…お、俺は闘う!!ダークドレインバンザーイ!!」
戦闘員が襲い掛かろうとしたまさにその時だった。

ザッ…!!

「…!?」
ギガンデスが起動し、WLの前に立ちはだかった。
「やっとお目覚めのようね。来なさい」
WLは余裕の笑みを浮かべる。

と、次の瞬間だった…。

ダッ…!!

突如、ギガンデスがWLに襲い掛かる。

ドッ…!!

ガッ…!!

ゴッ…!!

至近距離で互角の攻防が繰り広げられる。
『…強い、さすがにこれまでの怪人とは違うわ…。それに、私の動きをよく研究してるわ…』
ギガンデスの予想以上のパワーとスピードに、WLもその実力を認めざるを得ない状況となる。
『…でも、まだまだ甘いわね…』

ドガァァァァ!!!!

「ぐはぁっ…」

一瞬の隙を突いて、WLの蹴りが炸裂し、ギガンデスは吹き飛ばされる。両者の間合いができると、WLはエナジーを高めていく。
『この技を喰らえば、木っ端微塵よ!!』
WLが必殺技を放とうとした、まさにその時だった…。

「待て!!」

「…!?」

そこには人質をとった戦闘員の姿があった。
「優くん!!」
人質となっていたのは過去にWLが救出した〇〇・優だった。
「WL!!動くなよ!!少しでも動いたら、このガキの首の骨をへし折るからな!!」
「助けて!!WL!!」
戦闘員から〇〇され、優が泣き叫ぶ。
「くっ…」
なす術のないWLは構えを解除する。

ゴスゥゥゥッ…!!!

「がふぅ…!!」

ギガンデスのボディブローが炸裂し、WLは苦悶の表情を浮かべる。

バギィ…!!

ガスゥッ…!!

ボゴォッ…!!

「ぐはぁっ…!!」

無抵抗のWLに対して、ギガンデスが連続攻撃を浴びせていく。
「WL!!」
ダメージが蓄積し、ボロボロになるWLを見て、優が悲痛な叫び声をあげる。
「いいぞ!!やっちまえギガンデス!!その女をぶっ殺せ!!」
戦闘員の声に反応するように、ギガンデスはトドメを刺そうとエナジーを集中させていく。

ドゴォォォォン!!!!

「ギャァァァ!!」

ギガンデスが放ったエネルギー砲を、WLは正面から被弾し、吹き飛ばされた。
「…くっ…」
瓦礫に埋もれたWLの視線の先には優の姿があった。その視線は心はまだ折れていない事を物語っていた。
『…確かに強いけど、この程度ならば大丈夫…、まずは、優くんを救出しないと…。一体、どうすれば…そうだ…!!』
WLは立ち上がると、ギガンデスに向けて笑みを作った。
「やっぱり、この勝負は私の勝ちみたいね…」
WLがそう言い放つ。
「ただのハッタリだ!!ギガンデス!!トドメを刺せ!!」
ギガンデスが間合いを詰めようとしたまさにその瞬間だった…。

「サンシャインフラッシュ…!!!!」

ビカァァァァ…!!!!

「ぐはぁっ…!!」
「何だこれは!!目が!!」
WLのティアラから強烈な光を放たれ、ギガンデス達の視界を奪っていく。
しばらくして、視界が回復した時だった。既に戦闘員の手元に優の姿はなかった。
「し、しまった!!ガキがいない!!」
「さぁて、覚悟しなさいよ」
そこに立っていたのは優を取り戻し、意気揚々としたWLの姿だった。

ゴスゥゥゥッ…!!

ドガァァァァッ…!!

バギィィィィッ…!!

完全にギガンデスの動きを見切ったWLは猛攻を仕掛けていく。
「これでトドメよ!!!!ワンダービッグバンマグナム!!!!」

ドガァァァァァァァン…!!!!

「ぐはぁぁぁ…」

WLの必殺技に飲み込まれたギガンデスは轟音と共に木っ端微塵となった。

「ひっ…」
戦闘員は腰を抜かし、その場にヘナヘナと座り込む。
「…お、俺はただ、脅されて動いていただけなんだ!!頼む!!許してくれ!!この通りだ!!」
WLは握り拳を作りながら、怯える戦闘員に一歩ずつ近づいて来る。その表情は鬼気迫っており、無言だ。戦闘員の恐怖心が絶頂に達する。

と、次の瞬間だった。

ヒュッ…!!

WLが目の前で拳を寸止めすると、戦闘員は「ひぃ〜」と声をあげ、バタリと失神した。

「ありがとうWL!!」
優が安堵の表情でWLの元へ駆け寄ってくる。
「優くん、大丈夫?」
「うん!!さすがWL!!強くてカッコいいや!!」
「これで、ダークドレインとの闘いは終わりよ、地球に平和が戻ってよかったわ」
その言葉に優が寂しそうな表情を見せる。
「WL、これで自分の惑星に帰るんだね…」
「この宇宙には、まだ私の力を必要としている人達がいるのよ」
「…うん、寂しいけど、仕方ないよね、WLは僕の誇りだよ!!ずっと忘れないから!!」
「当たり前でしょ!!私は正義のスーパーヒロインよ!!!最期には正義が勝つのよ」
WLは清々しい表情で空を仰いだのだった。

(Happy・End)


(完全敗北パート1)

「クックック…我が最強怪人ギガンデスの前では貴様など虫けら同然だ…。蝿のように叩き潰してやるわい」
「…蝿ですって…?」
Dr.サイコの言葉にWLが反応する。

ガッ…!!

WLがDr.サイコの胸ぐらを掴む。
「アナタに3日だけ時間をあげるわ。その怪人をさっさと完成させなさい。私とそのガラクタ怪人がどっちが強いか、ハッキリさせてやるわよ!!」
そう啖呵を切り、WLはDr.サイコの首に何かを取り付けた。
「これは爆弾付きのGPSよ、3日経ったら、アンタらのアジトに突入するわ!!逃げたって無駄よ!!最期に泣くのはアンタの方よ!!」
「貴様、絶対に後悔するぞ…」
Dr.サイコはそう言いながら、その場から逃走した。

(完全敗北パート2)

「おのれ、WLめ…!!我らがダークドレインの実力を見せつけてやるわい!!」
敗走したDr.サイコはギガンデス完全体の完成に向けて研究に没頭していた。
ギガンデスを収容している装置の画面には『92%』と表示されている。
「あと少しだ…、あと少しで、ギガンデスが完成するぞ…」
Dr.サイコの研究は不眠不休で続いていた。


(完全敗北パート3)

3日が経過した。ダークドレインのアジトにWLが現れた。
「約束の3日よ」
WLが意気揚々と構えをとる。ギガンデスは完全体には至ってはいなかった。少しでも時間を稼ごうと戦闘員が臨戦態勢をとった。
「大人しく降参すればいいものを…」
呆れた口調でそう言うWLに戦闘員が一斉に襲い掛かる。

バギィ…!!

ドガァ…!!

ゴスッ…!!

「ぐへぇ…!!」

WLは余裕の力で戦闘員を全滅させると、Dr.サイコの元へとたどり着いた。
「おのれ…、WLめ…」
「これが例の最強怪人(笑)ね」
WLはギガンデスを見るなり、エナジーを高めはじめた。
「これで終わりよ!!」

ドゴォォォォ…!!!!

WLがギガンデスを破壊しようとエネルギー破を放つ。

と、次の瞬間だった…。

「…えっ…?」
「…ん…?」
WLだけでなく、Dr.サイコも意外な表情をする。何と、ギガンデスはエネルギー破を吸収してしまったのだ。吸収した莫大なエネルギーでギガンデスのエナジーが上昇していく。
「こ、これは…!?まさか、こんな事が…!!」
嬉しい誤算にDr.サイコの興奮が絶頂に達する。
「クックック…WL!!バカな奴だ!!自らギガンデスを完全体にするとはな!!」
「結果は同じ事よ!!不燃物にしてやるわ!!」
「せいぜい後悔するがいい!!」
Dr.サイコが起動スイッチを押すと、ギガンデスが動きはじめた。
「さぁ、ギガンデス!!WLを抹殺しろ!!」

ダッ…!!

「…!!」

Dr.サイコの掛け声で、ギガンデスはWLを敵と認識し、一気に襲い掛かる。

ガァッ…!!

ゴスッ…!!

バギィッ…!!

ドスゥゥゥッ…!!

序盤はほぼ互角の攻防が繰り広げられたが、離れ際にWLの一撃が決まった。
「なかなかのパワーね、でも、スピードは私の方が一枚も二枚も上のようね」
WLは全てを見切ったかのようにそう言った。

と、次の瞬間だった…。

…カラン…

「…えっ…?」
音をたてて地面に落ちたのは、WLのティアラだった。WLは思わず額に手を当てて確認する。
「…い、いつの間に…」
「クックック…。どうやらスピードも三枚程、ギガンデスの方が上だったようだな」
「…くっ…何を…!?今のは油断しただけよ!!」
動揺するWLを見て、Dr.サイコは愉快そうに笑う。
「さぁ!!ギガンデス!!準備運動は終わりだ!!この女を全力で嬲り殺しにしろ!!」
その合図と共に、ギガンデスが襲い掛かる。

ゴガァァァッ…!!!!

「ぐはぁっ…」

ギガンデスの強烈なボディブローがめり込み、WLの体がくの字に折れ曲がる。真正面からの攻撃にも関わらず、WLは防御する事も、避ける事もできなかった。口からは大量の吐しゃ物がビシャビシャと吐き出されていく。
さらにギガンデスは攻撃の手を緩めない。

ゴガァァァ!!

ゴスゥゥゥッ!!

ギガンデスのスピードとパワーについていけず、WLは完全に防戦一方となる。さらにWLはある事に気付いた。目にも止まらぬ連続攻撃の中で、自らのコスチュームが少しずつ切り裂かれていたのだ。
「はっ…!?」
切り裂かれたコスチュームから乳房が露わとなる。WLは思わず赤面し、両手で胸を隠した。
「クックック…。正義の戦士を気取っても、所詮は女という事か…。失望したわい」
「…おのれ、この卑怯者…!!この程度、私にとって恥じらいなどないわ!!」
WLは鬼の形相で乳房から両手を放し、再び構えをとる。

ダッ…!!!

WLが拳を振り上げて襲い掛かる。

ガゴォォッ…!!!!

「ぎゃぁぁぁっ…!!!!こ、拳がぁぁ…!!」
悲鳴をあげたのは、殴ったWLの方だった。ギガンデスの強靭なボディの前に、WLの拳が粉砕される。
次の瞬間、ギガンデスは苦悶の表情を浮かべるWLの顔面をガッシリと掴んだ。そのまま握力を込め、WLの顔面を絞めつけていく。アイアンクローだ。WLの頭蓋骨がギシギシと悲鳴をあげていく。
「…がっ…がはぁぁぁ…!!は、放せぇぇぇっ…!!」

ガッ…!!

ゴッ…!!

WLは必死に抵抗するが、ギガンデスの圧倒的な腕力の前ではあまりにも無力だった。

…このままでは、本当に押し潰されて、眼球が飛び出してしまう…。
WLがそう恐怖を感じた矢先に、ギガンデスがさらに力を込めていく。
「ぐはぁぁぁぁぁっ…!!!!」
WLの悲痛な叫び声が響き、両膝を地面に突いてしまう。
「いいぞギガンデス!!その女の頭蓋骨を粉砕して、脳みそをぶち撒けてしまえ!!」
ギガンデスはWLの体を軽々と持ち上げる。
「うがぁっ…!!は、放して…お願い、放してぇぇぇ…!!」
WLの言葉は『放せ』から『放して』になっていた。その声は苦痛で満ちている。それでも両足をバタつかせて必死に抵抗するが、ただ、虚しく空中を遊泳するばかりだ。

…ギリッ…ギシギシィッ…ギシィッ…ギリリィッ…

「うがぁぁぁっ…!!!」
WLの頭蓋骨が軋みをあげる。
遂にWLの両手がストンと落ちた。失神だった。WLの体が脱力したのを確認すると、ギガンデスは失神したWLをゴミのように投げ捨てた。地面に横たわり、全身を痙攣させるWLにDr.サイコが近づく。
「クックック…。WLよ、いいザマだなぁ。最期にチャンスをやろう。儂に土下座をして敗北を認めれば、命だけは助けてやろう。もっとも、貴様は我がダークドレインに多大な損害を与えた。その代償として、下僕として働いて貰う事になるがな」
Dr.サイコがそう提案する。

その時だった…。

WLの目がパッと開いた。即座に俊敏な動きで起き上がると、Dr.サイコの首に腕を回した。
「ひっ…!!」
人質となったDr.サイコが声をあげる。
「アンタに土下座?ふざけないで!!」
WLが腕に力を入れてDr.サイコを絞め上げていく。
「そこのガラクタ人形!!アンタ、少しでも動いたなら、コイツの骨をへし折るわよ!!」
「…た、助けてくれ…!!そうだ、話し合いをしよう!!金ならいくらでもやる…何でも言う事聞くから…」
「アナタ達みたいな卑怯者の言う事、信用する訳ないでしょ!!」
WLはDr.サイコを人質に獲り、少しずつギガンデスから離れていく。一旦、この場を撤退しようという作戦だった。
「わ、儂を助けろギガンデス!!」
Dr.サイコがそう叫んだ瞬間だった…。

ビカァァァァッ…!!

突然、ギガンデスが強烈な光を放った。

「ぐはぁぁぁっ…!!!目が…!!」

その光を浴び、WLは視界を奪われてしまう。そして、視界が回復した時には、Dr.サイコの姿はギガンデスの元にあった。
「し、しまった…!!」
「クックック…。人質とは、正義の戦士らしからぬ作戦だったな、ギガンデス!!今度こそブチ殺してしまえ!!」
ギガンデスがゆっくりとWLに近づいて来る。
「…くっ…!!」

ドガッ…!!

ドガッ…!!

ドガッ…!!

WLは連続してエネルギー弾を放つが、ギガンデスは物ともしない。エネルギー弾を放つWLは完全に動揺し、いつもの自信に満ちた表情は消え失せていた。
「ひっ…」
ギガンデスを目の前にしたWLは思わず悲鳴をあげた。これまでどんな相手であろうと、勇敢に闘ってきたWLが敵を目の前にして悲鳴をあげるなど、これがはじめての事だった。

と、次の瞬間だった…。

ドガァァァァァァッ!!!!

「ぐはぁぁぁぁっ…!!!」

ギガンデス渾身の一撃が炸裂する。WLの体は軽々と吹き飛ばされ、壁に激突した。ダウンしたWLの上に瓦礫が崩れ落ちてくる。
「…ぐっ…ぐはぁぁっ…!!」
瓦礫の中から埃まみれのWLが立ち上がった。
「…覚悟しなさい…!!こうなったなら、木っ端微塵にしてあげるわ…!!ライジング・クラッシュ・キャノン!!!!」

ゴガァァァァァァ…!!!!

WLは巨大なエネルギー弾をギガンデス目掛けて放った。周囲の環境さえも破壊してしまう程の威力を持った技だ。この技を喰らえば、ギガンデスといえど無事では済まない。WLは勝利を確信していた。

しかし、次の瞬間だった…。

ガゴォォォォッ!!!

「…なっ…!?」

WLは目を疑った。ギガンデスは何のダメージもなく、エネルギー弾を素手で撃ち返したのだ。軌道を変え、数倍の速度で跳ね返されたライジングクラッシュキャノンが、今度はWLに襲い掛かる。
『…そんな、私の、フルパワーが…!!!!』

ドガァァァァァァァッ…!!!!

地響きと共に、WLは自らの最強の必殺技に被弾した。
しばらくして砂ぼこりが落ち着くと、そこにはボロボロの状態のWLが立っていた。
「…うっ…うぅっ…」

ドッ…。

あまりにもダメージは大きく、WLは両膝を突いて、地面に倒れ込んだ。目に涙を溜めて、全身をガタガタと震わせている。最強の必殺技が全く通用しないという現実は、心をへし折り、戦意喪失に陥るには充分過ぎた。
「クックック…。どうだ?はじめて自分よりも強い者と対峙した気分は?」
「…わ、私の…負けです…もう、やめて下さい…」
遂にWLの口から敗北宣言が飛び出した。Dr.サイコは満足そうに笑う。
「忘れるなよ?貴様を生かすも、殺すも我々次第だ、」
「…お願いします…何でもします…命だけは、助けて下さい…」
WLは地面に額を擦りつけるまで深く土下座をした。全身は恐怖でブルブルと震えている。
「クックック…。これまで容赦なく戦闘員や怪人を倒してきた戦士の末路がこれか。あまりにも情けない。そんな情けない姿を晒すくらいなら、自ら死を選ぶのではなかったか?さぁ、どういう死に方をしたい?ケツの穴から脳みそまで貫いてやろうか?」
「…お、お尻の…穴…から…嫌ぁ…嫌ぁぁ…!!そんな死に方、嫌ぁぁ…!!お願いします…!!助けて下さい!!今までの事は全部謝罪します!!」

…じょろ…じょろろぉ…

WLは恐怖のあまり失禁してしまう。
「クックック…恐怖で失禁か?戦闘員ですらそのような失態はなかったぞ」
Dr.サイコは呆れた口調でそう言いながら、今度はWLの頭から自らの小便をかけはじめた。小便が終わると、WLの頭をグリグリと踏みつける。
「…うっ…うぅっ…うぅっ…」
完全にプライドが崩壊し、WLは声をあげて泣きはじめた。
「そうだったな、土下座までしたのだから、約束は守らんとな。明日までに10万人分の死体を並べておけ。1体でも死体が少なければ、貴様はあの世逝きだ。わかったな!!」
「は、はいぃぃっ〜!!」
WLは背筋をピンと伸ばし、返事をした。
「さぁ、行くぞギガンデス、今宵は勝利の美酒に〇いしれようではないか!!」
Dr.サイコとギガンデスが背中を向け、その場を立ち去ろうとした時だった。
「…!?」
WLの目に入ったのは、地面に落ちている真っ二つに割れたティアラだった。WLの脳裏にはティアラをブーメランのように投げ、ギガンデスの首を〇〇する光景が浮かび上がる。例え、この窮地を生きながらえたとしても、Dr.サイコは自分の醜態を知っている。これまでの輝かやかしい実績は地に堕ちるだろう。それを防ぐには抹殺してしまうしかない。その好機が巡ってきた。まさに一発逆転だ。
「…油断したわね…」
WLはティアラを握り締めた。
「死ねぇぇぇ!!Dr.サイコ!!!」
WLはそう叫び、ギガンデス目掛けて全力でティアラを投げた。

と、次の瞬間だった…。

ギガンデスが振り向きざまにティアラを跳ね返す。
「…えっ…?」

グザァァァッ…!!

「…あっ…あぐぅぅ…」

気が付くと、跳ね返ったティアラはWLの喉を貫通していた。WLの喉元からダラダラと赤い血が流れてくる。WLは白目を剥き、一歩、二歩、三歩と力ない足取りで歩いた後、人形のようにバタリとその場に倒れた。
「クックック…。WLよ、これでわかっただろ?正義が勝つのではない、強い方が勝つのだ…」
既に絶命しているWLにはDr.サイコの言葉は届かない。

(Bad・End…)

最期まで読んで頂き、ありがとうございました。








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