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タイムアスモデウス
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Katherine
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ミス系マニア
■タイトル 

ダブルヒロイン完全処刑 〜ミス・ギャラクシー&ミス・ユニバース絶命地獄〜 [No.10947]

■プロット
泣き叫び命乞いするヒロイン処刑し、また蘇生させては、再び処刑するのを楽しむデロスのギルマ総司令。ミス・ギャラクシーの救出に向かったミス・ユニバースも、敵の怪人に敗北して処刑され、ギルマの残酷な娯楽の道具にされてしまう。恐怖で失禁し命乞いしながら、何度も殺される二人のヒロインたち。最後に解放のチャンスを与えられた二人は、連携して何とか怪人を倒す。これで救われたと思った二人だったが、ギルマの「解放」とは「蘇生のない完全な死」のことだった。最強最悪の怪物に姿を変えたギルマを相手に、最後の戦いを挑むミス・ギャラクシーとミス・ユニバース。だが二人はギルマの力に圧倒され、絶望的な苦痛と恐怖に泣き叫びながら、二度と蘇生のない完全な死を迎えてしまうのだった。【完全死亡エンド】


プロローグ

暗く湿った処刑室。壁面には幾重にもケーブルが走り、まるで生き物のように脈動していた。その天井から吊るされているのは──ハイレグのバトルスーツと金髪マスクに身を包んだ女戦士、ミス・ギャラクシー。柊ハルカが変身した、正義のスーパーヒロイン。

だが今は、その誇りも意味をなさない。 何本もの触手が彼女の手足を絡め取り、宙に吊り上げていた。触手の根元には、異形の怪人──《サンダースネーク》。その名の通り、放電する触手を巧みに操り、獲物をじわじわと焼き尽くす処刑用の怪人である。

「や……やめて……お願い……やめてぇえええええっ!!」

ミス・ギャラクシーの絶叫が響く。だがその声に憐れみを示す者は誰もいない。むしろその叫びこそが、ここの支配者の娯楽であった。

「もう死にたくないっ、もう死にたくないぃいいいいっ!!」

部屋の奥。豪奢な黒衣をまとった人物が、椅子に腰かけている。──ギルマ総司令。デロスの最高司令官にして、すべての処刑実験の観察者。いや、鑑賞者。

「いい悲鳴だ。前回よりも、ほんの少しだけ“絶望”の混じりが増えたようだな」

彼は口元を歪め、目を細めると、手元の端末を操作した。次の瞬間、サンダースネークの触手が再び閃光を帯びた。

「ぎゃああああああっっ!! あつっ……あづいぃいいいぃっっっ!!」

ビリビリと焦げる音。そして、ミス・ギャラクシーの叫びが、室内を満たす。マスクの中で涙が溢れる。全身を焼くような痛みに、理性も体も悲鳴を上げた。涎が勝手にこぼれ、口元からだらしなく垂れる。股間からは、耐えきれぬ恐怖に支配された身体が、熱い液体を垂れ流した。バトルスーツの太腿を伝って床へと滴り落ちる音が、嗤うように響いた。

「……いや……やめて……もう……もうやだ……やだよぉ……たすけ……誰か……っ……」

命乞い。それはミス・ギャラクシーにとって、最も恥ずべき言葉であるはずだった。けれど、今はその誇りすら、焼き尽くされていた。

サンダースネークが最高出力の電撃を開始する。

「ぎゃああああっ!!あづいっ、あづいっ!!あづいぃいいいぃっっっ!!」

ミス・ギャラクシーの身体が断末魔に痙攣する。

「処刑、完了」

ギルマが呟くと、サンダースネークの触手がゆっくりとミス・ギャラクシーの体を離す。力を失った彼女の体が、ずるりと落下し、床に倒れ込む。その瞬間──

「……っ……ぁ……」

スーツがきらめき、変身が解除された。バトルスーツが消え去り、現れたのはハイレグのインナースーツに包まれた若い女性──柊ハルカだった。
その目は虚ろで、口元からは涎が垂れたまま動かない。ハルカは完全に絶命していた。床に広がる失禁と汗の跡が、彼女が経験した恐怖を無言で物語っている。

「……さて……」

ギルマが立ち上がる。その目は、処刑の終わりではなく、新たな処刑の始まりを見据えていた。 「そろそろ、次のヒロインが来る頃だな……それまではもう少し、この女の処刑を続けるとするか。蘇生させろ」 彼は笑った。

機械的で、感情のない笑み。 まるで、次の実験材料が届くのを心待ちにしている科学者のような。 そして、床に倒れた柊ハルカの体が、静かに蘇生カプセルへと運ばれていく。次の処刑に備えて、蘇生されるために── 物語は、ここから本当の地獄へと加速していく。


第一章:侵入者、そして──

鋼鉄の通路に、ひとつの影が走る。

ピンク色のハイレグバトルスーツをまとい、金髪のマスクに身を包んだ女戦士──ミス・ユニバース。バトルフラッシュの若き女戦士・湊マリアは、先輩であるミス・ギャラクシーを救うため、敵デロスの拠点へと単身潜入していた。

「ハルカ先輩……必ず、助け出してみせる……!」

重い緊張の中で、彼女の心は決意に燃えていた。
金属の冷たい壁を背に進み、照明もない処刑区画へと足を踏み入れると、蘇生カプセルに囚われたハルカを発見する。

「ハルカ先輩…!助けに来ました」
「……マリア……ミス・ユニバース……来ちゃだめ……逃げて……っ」

その瞬間、不気味な声が響く。

「よくきたな、ミス・ユニバース」

響いたのは、軋むような金属音。
天井を砕くように降下してきたのは、鋼の怪人《クラッシュオーガ》。
全身が分厚い外殻に覆われ、四本の拳を持つ破壊の権化。

続けて、床の排気口から、白く濁った霧が噴き出す。
ぬらりと姿を現したのは、毒霧を操る怪人《ヴェノミア》。
体表は不気味にうねり、口元から漏れる息は青白い霧となって空間を満たしていく。

「毒性ガス、散布開始──バトルスーツ貫通プロセス、作動」

「……ッ、二体同時!? しかもこの霧……!」

ミス・ユニバースが跳躍するが、すでに遅かった。
クラッシュオーガの拳が唸りを上げて迫り──

「がっ──……ッ! ぅ、うぅぅ……!!」

重く、鋭く、腹部に叩き込まれる衝撃。
体の奥にまで響く痛みに、ミス・ユニバースは声を失い、腹部を押さえて苦悶する。
そして次の瞬間、毒霧が彼女のマスクを通過し、口腔と皮膚から身体の奥へと侵入する。

「ひ……い゛……っ!? ぅ、く、うあああぁあああっ!!」

痛みが、体内から走った。
喉の奥が焼け、全身が針で刺されるような錯覚。
筋肉が硬直し、視界が揺れる。思考が追いつかない。

「マスク……効いてない……!? そんな、ばか……な……っ……!!」

足元がもつれ、呼吸が乱れる。体が熱を持ち、脈拍が跳ね上がる。
毒素は確実に、ミス・ユニバースの肉体を侵食していた。

「もう、無理……やめて……たすけて……」

涙が頬を伝い、震える声が漏れる。
クラッシュオーガがさらに一歩、近づく。

「この程度で音を上げるとはな。正義のヒロインが聞いて呆れる」

再び、鋼の拳が叩き込まれる。
マリアの腹部に直撃し、激しい衝撃が彼女の体を床へ叩きつけた。

「ぐ……あっ、あぐぅぅっっ!!」

痛みに声が上ずり、涎が口端から垂れる。
息をするだけで胸が裂けそうだった。
──その瞬間、全身に走る冷えと震え。

「ひ……いや……も、もうやだ……助けて……っ……!」

意識が恐怖に塗り潰される。
股間から、じわりと熱く、湿った感覚。
理性が崩れる前に、体が反応していた。
彼女の膀胱は制御を失い、恐怖のあまり失禁していた。

「こ……んな、はずじゃ……わたし……正義のヒロイン、なのに……っ」

金髪マスクの奥で、目が涙に濡れる。
ヴェノミアの毒がじわじわと回り、筋肉が痙攣を始める。

「お願い……やめてぇ……命だけは……たすけて……」

その言葉はもはや、戦士の誇りではなく、恐怖と苦痛に負けたヒロインの命乞いだった。
──しかし、容赦はなかった。

クラッシュオーガが彼女の背中を踏みつけ、ミス・ユニバースの体が痙攣する。ヴェノミアの毒が全身に回り、彼女の命が尽きていく。

一瞬光が走り、バトルスーツが解除される。
変身が解けた彼女は、毒と汗、そして失禁の痕が残るインナー姿で静かに倒れていた。
金髪のマスクも消え、現れたのは、ひとりの無力な女性──湊マリア。
開かれた瞳には、もはや何も映っていなかった。

「……処刑、完了」

ヴェノミアがそう告げたとき、背後からゆっくりと歩み寄る黒衣の男の姿があった。
ギルマ総司令──

冷たい目でマリアの亡骸を見下ろし、わずかに口角を吊り上げる。

「いい悲鳴だった。この女の処刑も楽しめそうだな。蘇生させろ」

静かに、マリアの体が蘇生カプセルへと運ばれていく。
処刑は終わらない。正義の名のもとに戦ったマリアの末路は、まだ始まりにすぎなかった。


第二章:死の螺旋

静寂。
だがそれは、終わりを意味するものではなかった。
マリアが再び目を開けたのは、冷たい光が差す蘇生カプセルの中だった。
意識が覚醒しきる前から、全身を襲う戦慄が走る。

「私は……死んだはずじゃ……?」

呆然とした思考。記憶が断片的によみがえる。
苦痛。毒。叩き込まれる拳。焼けつくような痛みと、身体の底から滲み出す恐怖──
そして、闇。

「目覚めたか」

カプセルの外から響いたのは、低く、感情のない声だった。
ギルマ総司令。黒衣の男。

「……お……お前は……」

マリアの声は震えていた。喉が焼けついたように乾いている。

「見事な処刑だった。あの絶望……悪くない。だが、まだ素材として未完成だ」

ギルマが指先で端末を操作すると、マリアの変身ブレスレットがカプセルの中へ落ちた。

「変身しろ。お前には、次の実験がある」

「いや……もう、無理……無理よ……お願い、やめて……っ」

「これは命令だ、ミス・ユニバース」

言葉では抗えない。身体が、記憶が、痛みが、彼女の自由を縛っていた。
だが──

(……私は……ハルカ先輩を、助けるって……そう、誓った……)

涙を堪え、マリアは震える指でブレスレットを装着した。

「──バトルチェンジ!」

変身が完了し、カプセルからミス・ユニバースが歩み出る。その瞬間、重たい扉が開いた。
そこにいたのは、新たな怪人──
全身に無数の毒針を備えた昆虫型の異形、《スティングクィーン》。
冷たい声が空間に響く。

「対象確保。処刑プログラム、開始」

その直後、無数の針が飛んだ。
ミス・ユニバースは跳躍してかわす──はずだった。

「くっ──速い……ッ!」

一本の針が左腿に刺さる。感覚が一瞬にして喪失する。

「な……に……!? 足が……動かない……!」

「神経遮断毒。処刑効率の向上を確認」

スティングクィーンが冷静に告げる。
ミス・ユニバースの身体が徐々に動かなくなっていく。
筋肉が痺れ、震え、思考すら鈍くなる。

「い……いや……たすけて……っ……!」

その声に、別のカプセルから悲痛な声が響く。

「やめて……お願い! 私を……私を処刑してっ! マリアはもうやめてあげて……っ!」

ミス・ギャラクシー──柊ハルカの声だった。

だがギルマは無表情のまま、ただ言った。

「順番を決めるのは、我々だ」

そして、処刑は続く。
──針がさらに数本、ミス・ユニバースの胸、腹、肩に突き刺さる。

「がっ……は、あ……ぅ……っ!」

マスクの中で、涎があふれる。
喉が焼けつき、まともに息ができない。
そして──
突如、股間に生暖かい感覚が広がった。

「……っ……あ……や、だ……っ……」

ミス・ユニバースの全身が震える。
それは恐怖と苦痛の極限で、理性の壁が崩れた瞬間だった。
マスクの中で、彼女の目に涙が滲む。

戦う意思ではなく、生きたいという本能が、先に反応してしまった。
バトルスーツの股間がじんわりと濡れ、太腿を伝って熱い液体が流れ落ちる。
床に落ちるその音は、誰にも気づかれないほど小さかったが──
当の本人にとっては、絶望以外の何物でもなかった。

「……うそ……私……また……」

震える声。押し潰されそうな羞恥と恐怖。

(こわい……いや……助けて……もう、やだ……)

「まだだ。まだ“壊れた”とは言えんな」

ギルマが低く呟いた。

そして、スティングクィーンの毒針が、再び唸りを上げて放たれた。
腹部を貫く最後の一撃──

ミス・ユニバースの体が跳ね、悲鳴も出ずに崩れ落ちる。
その瞬間、変身が解けた。
──光の粒が舞い、そこに残されたのは、濡れたインナースーツ姿の湊マリア。
力尽きたその体は、床に横たわったまま、もう動かなかった。

「……処刑、完了」

ギルマは満足げに息をつく。
床には、毒針に貫かれた痕と、彼女が残した“恐怖の印”が、静かに滲んでいた。
ギルマはゆっくりとハルカのカプセルの前に立ち、冷たく言い放つ。

「ようやく、素材が二つ揃った。これからは、二人揃って“最高の処刑”を見せてもらおうか」

──終わりは、まだ始まってもいなかった。


第三章:最後の希望、最終の絶望

何度殺され、何度蘇らされたのか、もう分からなかった。
処刑室に響くのは、もう慣れきった自分たちの悲鳴。
痛みも、恐怖も、やがて鈍ってくる。
それは、心が壊れ始めている証だった。

「……もう……限界、だよ……」

蘇生カプセルの中、マリアは微かに呟いた。
ハルカも同じように、力なく目を閉じている。
だが──その日、ギルマは違う言葉を口にした。

「そろそろ、お前たちの悲鳴にも飽きてきた」

蘇生カプセルの前で、彼はゆっくりと告げた。

「最後のチャンスをやろう。二人で力を合わせて、一体の怪人と戦え。もし勝てば──解放してやる」

「……え……?」

「ほ、本当に……!?」

二人のヒロインは顔を見合わせた。
──戦えば、自由になれる。

もしかしたら、これが……本当に、最後のチャンスかもしれない。

「バトルチェンジ──!」

閃光と共に、ミス・ギャラクシーとミス・ユニバースがカプセルから飛び出した。
空間の中心に待ち構えていたのは、一体の怪人《デスグラウラー》。
四本の腕と、刃のような尾を持つ死神のような異形だった。

「今度は俺さまが処刑してやる……さあ来い……かかってこい……!」

ミス・ギャラクシーが右へ回り込む。
ミス・ユニバースが左から接近し、連携攻撃を仕掛ける。
刃の尾が唸りを上げて振るわれ──

「くっ……!」

ミス・ギャラクシーの腹部をかすめ、赤い閃光が走る。
ミス・ユニバースはその隙に、背後から蹴りを叩き込むが、怪人はびくともしない。

「この……っ!」

刃の一撃が、ミス・ユニバースの太腿を切り裂いた。

「ぎっ……!!」

一瞬で膝が崩れ、倒れ込む。
マスクの中で、息が荒れる。視界が滲む。
──だが、もう退くことはできなかった。

「ハルカ先輩……いまっ!」
「行くわよ、マリア!」

二人の声が重なる。
ミス・ギャラクシーが真正面から突撃。
その動きに怪人が反応した瞬間、ミス・ユニバースが背後から接近。
渾身の一撃が、怪人の心核を貫いた。

「──ッ!!」

瞬間、爆発のような衝撃が辺りを包む。

「きゃあああっ!!」

二人の体が吹き飛ばされ、床に激突した。
──変身が解けた。
二人はそれぞれのインナースーツ姿に戻り、傷だらけのまま倒れ込む。
ハルカもマリアも、震える体を必死に起こしながら──

「……やった……の……?」
「勝った……よね……?ねえ、ギルマ……これで、私たち、自由に……!」

疲労と安堵が混ざった涙が、マリアの頬を伝う。
勝った。ようやく……終わったのだ。
だが──

「勘違いするな」

ギルマの声が、冷たく響く。

「解放とは、“蘇生のない死”。お前たちは、いよいよ“完全に処刑”される番だ」

「……な……っ……!?」
「約束……したじゃないっ……! 解放するって……っ!」

「そうだ。“解放”する。永遠の苦痛と恐怖からな。お前たちは、何度死んでも蘇った。だが今回は違う。最終的で、完全な処刑──すなわち、“完全な死”だ」

沈黙。
それは、理解に遅れた二人の脳が、言葉の意味を拒否したからだった。

「……うそ……そんなのって……」

マリアが言葉を詰まらせる。

(たすけて……だれか……お願い、お願いだから……)

「うそ……うそよ……そんなの、いや……いやあっ……!」

マリアが全身を震わせた瞬間──
彼女の膀胱が痙攣し、股間から生暖かい感覚が滲み出す。
それは理性では止められなかった。
身体が“終わり”を悟った、生の拒絶反応だった。

「……ま……また……」

インナースーツの股間を濡らすその感触に、マリアは顔を背けた。
そして──

「……マリアだけじゃ……ない……私も……っ……」

隣のハルカもまた、同じように震えていた。
目を見開いたまま、彼女の脚の間からも失禁が流れ落ちる。

「こわい……死にたくない……こんなの、解放なんかじゃない……っ!」

二人の間に、絶望と羞恥と恐怖が入り混じった沈黙が生まれる。
ギルマは、その姿を見下ろしながら──
ゆっくりと、腕を広げた。

「良い絶望だ。だが、それでも足りない。この命の最期、処刑は“真なる怪物”の手で行われねばならん……」

──その瞬間、彼の身体が音を立てて変異し始める。
背中が裂け、甲殻類のような装甲がせり出し、
その下からは毒虫や海洋生物を思わせる器官が蠢き出す。
赤黒い目が複眼のように分裂し、
腕は蛇のようにしなる鱗状の触手へと変貌、
裂けた口元からは、蠍の毒針に似た器官と牙がせり上がる。

生物的な不気味さと処刑器具の禍々しさが融合した、
まさに“処刑のために生まれた怪物”が、そこに現れた。
「これが、我が“処刑者としての真形態”──」

《アポカリプス・ギルマ》──処刑そのものを体現する怪人の誕生だった。

ハルカとマリアの目が見開かれる。

「な……に……これ……」
「最初から……これが……目的……っ……!?」

床には、二人が失った希望の痕跡と、異形の怪人が歩み寄る音だけが残された。
──処刑の最終幕が、静かに始まろうとしていた。


第四章:絶望の最終処刑

処刑室が、血のように赤い光に染まる。
その中心に立つのは──最強最悪の怪人。
ギルマ総司令は、いまやその姿を捨て、真の姿を現していた。
処刑怪人《アポカリプス・ギルマ》。

全身を覆うのは、甲殻類のように硬質な毒装甲。
そこからは触手や牙、針、鱗といった、異なる毒生物の器官が無数に突き出ている。
蠍、毒蛇、クラゲ、猛毒のタコ……
あらゆる“毒と死”を象徴する存在を融合した姿。

その生体兵器の集合体のような体から発せられるのは、
言葉にできぬほど純粋で強烈な、“死そのもの”の気配だった。

「さあ、最後の戦いだ。逃れられぬ処刑の舞台へ──ようこそ」

その言葉に、ハルカとマリアは震えながらも立ち上がる。

「……行くわよ、マリア……!」
「うん……あきらめない……最後まで……!」

傷だらけの身体を奮い立たせ、二人は変身のポーズを取る。

「バトルチェンジ!」

光に包まれ、再び立ち上がる二人の戦士。
ミス・ギャラクシーとミス・ユニバースが、処刑怪人に戦いを挑む。

──だが。
その差は、あまりに絶望的だった。

ギルマの背から伸びた蠍の尾のような器官が、稲妻のようにミス・ギャラクシーを貫いた。

「っぐあああああああっ!!」

腹部に毒針が突き刺さり、瞬間的に焼けつくような激痛が広がる。
筋肉が痙攣し、彼女の身体がその場で崩れ落ちる。

(毒っ……全身が……熱い……っ、動けな──)

マスクの内側で、彼女の口元から白い泡があふれる。
そのまま無防備に倒れた彼女の身体に──

ギルマのクラゲのような触手が絡みつき、
その先端から、高圧電流が一気に流し込まれる。

「ひぎゃぁぁああああっっ!!」

(なに……これっ……体が……自分じゃない……!)
(痛い……怖い……死ぬ……!こんなの……勝てるわけ……っ!)

ズシャァァッ……ッ!!

空気が焼け焦げる音が走り、ミス・ギャラクシーの身体が激しく痙攣する。
全身の筋肉が勝手に跳ねるように動き、床に倒れた彼女はもはや自力では動けなかった。

「ハルカ先輩っ!!」

ミス・ユニバースが叫ぶが──
その直後、タコのような巨大な触手が彼女を襲う。
しなる触手が彼女の身体をきつく締めつけ、壁へと勢いよく叩きつけた。

「きゃあぁああああぁっ!!」

(どうして……どうしてこんなことに……っ)
(私たち、正義のヒロインなのに……!こんな……処刑されるなんて……)

一方のミス・ギャラクシーは倒れたまま、泡を垂らす口元をわずかに動かす。

「マ……リア……に、げて……」

その声はあまりに弱く、もはや届かない。

「ハ……ハルカ先輩……いま……いきます……」

ミス・ユニバースがよろよろ立ち上がり、ミス・ギャラクシーの助けに入ろうとするが
──

その瞬間、ギルマの体内から蛇のような触手がしなるように飛び出した。
その先端には牙が生えており、それがユニバースの肩に深く突き立つ。

「ひぎぃっっ!!」

牙の奥から神経毒が注ぎ込まれ、瞬時に肩から全身へと痺れが広がる。
彼女はそのままタコのような触手に巻き上げられ、空中に吊り上げられる。

「う、ああああっ……やめてっ……やめてぇぇっ!!」

触手が、ミス・ユニバースの全身をギリギリと締め上げる。
その圧力は容赦がない。ミス・ユニバースの全身が大きくのけ反り、口を開けて苦鳴を吐き出す。

「ぐぅっ……ごほっ、ごほっ……!」

咳き込みながら、彼女のマスクの内側に細かな泡が滲む。
神経を麻痺させる毒が、内臓にも達していた。

(苦しい……動けない……お願い……もうやめて……)
(体が……自分のものじゃない……心まで……壊されそう……!)

ギルマはその様子を愉しげに見上げながら、まるで壊れた人形を吊るすように、彼女の身体を左右に揺らした。

「ほう……まだ声は出るか。では、まだ“生きている”ということだな──」

続く“処刑”が、その言葉の先に待っていた。
轟音と共にさらに触手が飛び、鋭い牙を持つ蛇の頭部がミス・ユニバースの大腿に喰らいつく。

「ぎっ……ああああっ!!」

振り回され、壁に叩きつけられたミス・ユニバースのスーツが破れ、
床に落ちた彼女は、もがくように身をよじった。

「も、もうやめて……たすけてっ……お願いっ……!」

泣きながら叫ぶその姿に、ギルマは愉悦の声を上げる。

「命乞いなど、今さら無意味だ。
──処刑とは、希望を砕いてから始まる」
処刑怪人の攻撃は執拗だった。攻撃対象が交代する。

ミス・ギャラクシーは、今度はタコのような触手で首を締め上げられ、
蛇の牙がその腕を喰い破り、神経を焼く毒が体内に回る。
彼女の身体は震え、瞳は焦点を失いはじめていた。

一方のミス・ユニバースは、蠍の毒針が腹部に刺さり、
そのままクラゲ状の触手が何本も絡みつき、高圧の電撃が全身を走る。

「やだ……やめて……もう……こわれちゃう……っ……!!」
「こわいっ……こわいよ……助けて、誰か……ッ!」

彼女たちのバトルスーツは汗に濡れ、マスクの中では涙と涎が溢れ落ち、そして──
恐怖のあまり、二人の脚の間から温かな液体が滲み出していた。
再び身体が、心が、限界を超えた証。
それでも、まだ終わらない。
ミス・ギャラクシーが口を開き、泡混じりに叫ぶ。

「マリア……もう……だめ……っ……私……っ……」
「先輩……私も……こわい……しにたく……ない……っ」

電撃されるミス・ユニバースの体が痙攣し、マスクの中で口から涎が垂れる。
ミス・ギャラクシーの視界も揺れ、彼女の唇からは弱々しい声しか出なかった。

(もう……意識が……とびそう……)

やがて──
ギルマの背から、幾本もの触手状の器官が蠢き出す。
それは生き物のように脈打ち、先端には吸盤状の器官が開閉していた。

「では……最終刑を執行する。
──貴様たちの命、余すところなく吸い尽くしてやろう」

二人に絡みついた触手が、それぞれの胸部、腹部、背中、首筋へと吸盤を密着させ
──吸い上げが、始まった。

骨の芯から力が抜けていくような、魂ごと奪われるような感覚。

「いっ……いやっ……エナジーが、あたしのエナジーがっ……!!」

エナジーの奔流が、一方的にギルマの体へと流れ込んでいく。
彼の身体の中心にある“処刑核”が、それを嬉々として呑み込んでいた。

「ひああっ……!! んぐぅううう……あ……あああ……っっ……!!」

全身の神経が焼けるような感覚に包まれ、ミス・ギャラクシーの背筋が激しく反り返る。
吸盤状の器官が吸いつくたび、エナジーが波のように引き抜かれていく。

「やめて……やめてぇええっ!! いや……いやああああああっっ!!」

ミス・ユニバースの瞳が涙で滲む。
全身を絡めとった触手が、じわじわとエナジーを吸いとり、視界の端が暗く滲む。

「だめぇっ、やめて、私の中からっ……! エナジーが、全部……ああっ!」

吸盤の縁が脈動し、皮膚の内側まで吸い出すように蠢く。
生命の根幹を奪われている──そう確信せざるをえない感覚。

「たすけて、誰かっ……やだっ、体が、熱くて……寒くて……わかんない……っ!」

ミス・ギャラクシーの手足が小刻みに震える。
熱と冷たさ、痛みと痺れが交互に押し寄せ、体の感覚が壊れていく。

「こんなの、こんなのいやぁっ! なんで……こんな……あああああああっ!!」

マスクの中で、ミス・ユニバースの口元から再び涎が垂れ落ちる。
頭を振って拒絶しようとしても、首さえ自由にならない。

「苦しいっ……やめて……お願いっ! もう、やだ、死にたくないよぉぉっ……!!」

エナジーと共に、恐怖と羞恥すら吸い尽くされていく──そんな錯覚すら芽生える。
──叫びは、悲鳴となり、泣き声となり、うめきへと変わっていく。

ミス・ギャラクシーの瞳がぐらつき、焦点を失っていく。
ミス・ユニバースの口元から、涎が細く垂れ、言葉にならぬ呻きが漏れる。

(体が……冷たい……意識が……落ちてく……)
(何も……できない……何も、残ってない……)
(こんな最期……いや……でも、もう……)

エネルギーを失ったバトルスーツが閃光を放ち、限界に達したように弾ける。
変身は解け、二人のヒロインが元の姿──
──インナースーツ姿のハルカとマリアへと戻っていく。

その瞬間、吸収は完全に終了した。

「……おしまいだ」

ギルマが触手を引き、全ての器官が静かに沈黙する。
崩れ落ちる二人。

濡れたインナースーツ姿のヒロインたちは、痙攣の余韻を残したまま床に転がり、もはや反応はない。

──もう、立ち上がることはない。
──もう、戦うこともできない。

処刑室に残されたのは、息絶えた二人の女戦士と、それを満足気に見下ろすギルマだけだった。


エピローグ

ギルマ総司令は、再び人間の姿へと戻る。
その足元には──
汗と涙、失禁にまみれたインナースーツ姿のハルカとマリア。
白く濁った瞳、薄く開いた口元では涎が乾きかけている。
手足は痙攣すら止まり、完全な静寂が二人を包んでいた。

「……なかなかよい処刑だったぞ」

ギルマは小さく笑いながら背を向ける。

「さて……次のヒロインを探すとしようか」

足音だけが遠ざかっていく。
ハルカとマリアは、もう二度と目を覚ますことはなかった。
──この戦いに、再生はない。







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1人 がいいねと言ってます
みかん
二人の死に様がことごとく壮絶! 毒系の攻撃パターンが多様で、拘りを感じます。 あと、ふたりが倒すのがデスグラウラーのみなので、もう少し見せ場があってもいいかなあとは思いました。
ミス系マニア
みかんさん、フィードバックありがとうございます。とても励みになります。私好みのデットエンドは、「撲殺」とか「斬殺」ではなくて、「毒に苦しんで徐々に絶命していく」とか「エナジーを吸われて徐々に死んでいく」パターンなんですよね。その方がヒロインの恐怖や絶望が強調される気がして、ついそのパターンを多用してしまいます。ヒロインの活躍シーンが少し物足りないというご意見も、ありがとうございます。そこが自分の足りないところなんですが、ついついピンチ一辺倒のストーリーになっちゃうんですよね。また精進しますので、今後の拙作もご笑覧いただき、コメントいただけると嬉しいです。ありがとうございました。
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