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ごー
タイムアスモデウス
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Katherine
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おおたこ
■タイトル 

セーラー戦士ピンチオムニバス セーラーパイロが堕ちるまで  [No.10916]

■プロット
ヒロイン:緋山 かがり(ひやま かがり)
セーラー戦士名:セーラーパイロ



第一話:緋袴の囚われ

神社の朝は、いつだって清澄な空気に満ちていた。まだ夜の帳が完全に開けきらない本殿の裏手、手水舎で身を清める私の指先は、ひやりとした水に晒されても微動だにしない。巫女装束である白衣と緋袴が、夜風にふわりと揺れる。この清廉な布の下に、私が炎の戦士「セーラーパイロ」としての力を秘めていることを知る者は誰もいない。私もまた、この神聖な衣装を纏う時だけは、戦いから離れた「ただの巫女」でいられる、そう信じていた。

夜明け前の静寂を破ったのは、社の森の奥から響く、不気味な気配だった。ぞわりと肌が粟立つ。これは……妖魔の気配。先日も現れた、あの粘つくような、不快な波動を下級妖魔だ。胸の奥で、変身ブローチが微かに熱を帯びるのを感じる。

「……こんな朝早くに」

誰もいないことを確認し、私はそっと森の奥へと足を踏み入れた。足元の落ち葉がカサリと音を立てる。鬱蒼とした木々の間を抜けると、ひらけた場所に黒い靄が蠢いているのが見えた。やはり、下級妖魔だ。その醜い触手が、神社の結界を破ろうと、じりじりと這い寄るのが視える。

私は静かに、だが素早く、両の掌を合わせた。巫女として、この地の神聖さを守る使命がある。そして、戦士として、人々を守る義務がある。身体の内側から、熱い力が湧き上がってくるのを感じた。清らかな白衣の下で、肌が粟立ち、毛穴が微かに開くような感覚。神聖な力が、私の身体を戦いの器へと変えていく。しかし、その力は、まだ解き放たれない。

「穢れたる者よ……この地を汚すことは許さない!」

私の声が、澄み切った森の空気に響き渡る。妖魔が、ギョロリとした目で私を捉えた。次の瞬間、奴の触手がうねり、私目掛けて殺到する。私は身を翻し、紙一重でそれを躱した。

巫女装束は、戦いに向いているとは言えない。緋袴は、激しく動けばすぐに乱れ、白衣は汚れやすい。しかし、それが私を強くもするのだ。舞うように身をなすと、緋袴の裾が大きく翻る。その一瞬、鍛え上げられた脚が露わになり、妖魔の醜い視線がそこに吸い寄せられるのが分かった。誘うような、あるいは挑発するような……清らかな巫女装束が、戦いの中で妖しいまでの官能を帯びる。

「……ふっ」

私は薄く笑った。この肉体は、神聖な力を宿し、そして戦うためのもの。変身すれば、この場は一瞬で片付く。しかし、夜明け前の清浄な空間を、私の力を解放することで穢したくはなかった。巫女としての矜持が、そうさせた。

妖魔の次の攻撃を紙一重で避け、その懐に飛び込む。白衣の袖がひらりとはためき、敵の視界を遮った。その隙に、私は手にした祓串(はらえぐし)を強く振り下ろす。神聖な力が込められた祓串が、黒い靄の中心を打ち抜いた。

「ギャアアアアア!」

不快な悲鳴を上げ、妖魔の身体が霧散していく。清浄な空気が、再び森を満たした。私は深く息を吐き出す。高ぶった呼吸が、白衣の胸元を微かに上下させた。戦闘の余韻が身体に残っていた。アドレナリンがまだ全身を駆け巡り、肌は微かに熱を帯びている。乱れた緋袴を整えようと手を伸ばすと、その指先が、汗で張り付いた白衣の生地に触れた。肌に吸い付くような、湿った感触。それはまるで、激しい戦いの痕跡をなぞる、静かな愛撫のようだった。

私は本殿へと続く石段をゆっくりと登っていく。朝日は、もう森の木々の間から差し込み始めていた。清々しい風が、汗ばんだ肌を優しく撫でる。

そして、その瞬間だった。

私の背後、石段の下から、新たに粘つくような気配が這い上がってくるのを感じた。一匹ではなかった。妖魔の気配が、二つ、三つ、と増えていく。朝日に照らされ、その醜い姿がはっきりと見えた。先ほど祓ったはずの下級妖魔が、数を増やして再出現したのだ。しかも、先ほどよりも一回り大きく、禍々しい。

「まさか……この結界を、ここまで早く……!?」

愕然とする私に、妖魔たちは不快な嗤い声を上げながら、じりじりと迫ってきた。疲労した身体では、巫女の力だけでは対処しきれない。変身しなければ。しかし、既に妖魔は眼前だ。

私は、焦燥に駆られ、変身ブローチを強く握りしめる。だが、その指先は、疲労と、迫りくる絶望で、微かに震えていた。巫女装束の清らかな緋袴が、まるで私の心の動揺を映すかのように、はためく。その隙間から露わになる肌に、妖魔の醜い視線が絡みつく。

「やめて……!」

妖魔の触手が、私の緋袴を掴み、強く引っ張った。清らかな生地が、ビリリ、と音を立てて裂けていく。神聖な巫女装束が、穢れた妖魔の手に弄ばれる〇〇が、全身を貫いた。肌に直接、妖魔の粘液が触れる。ひやりと、そしてねっとりとした不快な感触が、全身の毛穴を逆立てた。

「ギャハハハ! その清い肌、もっと見せろ!」

複数の妖魔が、さらに私に群がる。巫女装束が、次々と引き裂かれ、鍛え上げられた身体が、無防備に晒されていく。痛みと、見られている〇〇と、そして抗えない絶望が、私を支配する。変身の光を放つブローチは、もはや私の震える指から滑り落ち、地面に転がった。

「う、あああ……!」

朝日が、私の惨めな姿を無慈悲に照らし出す。神聖な場所で、清らかな巫女装束を剥ぎ取られ、穢されていく。この〇〇が、私を深い闇へと引きずり込んでいく。

街は、妖魔の支配により、静かに、しかし確実に穢されていく。
そして、巫女装束を剥ぎ取られた私の身体は、もはや抗う術を失い、ただ、妖魔の醜い欲望のままに、地に伏していた。
穢れきった朝の光が、私の瞳の奥に、永遠の絶望を焼き付けた。

---

第二話:濡れたセーラーの微熱

放課後、窓から差し込む夕焼けが、使い古された机や椅子をオレンジ色に染め上げる。私は、提出期限の迫った課題を片付けるため、一人残っていた。カッターシャツの袖をまくり上げ、鉛筆を走らせる。セーラー服の襟元が、少しだけ首筋に張り付くような感覚がした。昨日の、巫女装束を穢された悪夢が、脳裏にちらつき、身体の奥に重い鉛のように沈んでいた。あの〇〇が、私を苛む。セーラーパイロとして戦うことさえ叶わなかった、あの無力感が、まだ私を縛り付けていた。

ふと、身体の芯がぞわりと冷えるような悪寒に襲われた。これは、妖魔の気配だ。しかも、先日遭遇した下級妖魔とは比べ物にならない、濃密で粘着質な、不快な波動。中級妖魔……どうして、こんな学校に? 変身ブローチが、スカートのポケットの中で微かに震えている。

「……まさか、こんな場所で」

私はゆっくりと顔を上げた。教室の隅、誰もいないはずの空間に、黒い靄がゆらりと揺れている。それは、人間の感情の澱(おり)のようなものを凝縮した、禍々しい存在だった。妖魔は、私に気づいている。その醜い視線が、私の制服の胸元、そして足元を這いずるように辿る。吐き気がするほどの不快感。しかし、同時に、その視線が私の身体を、私という存在を「見つめている」という事実に、微かな、背徳的な痺れを感じてしまう。

「何用かしら?」

声が震えないよう、努めて冷静に問いかける。妖魔は、その黒い影の中から、嗤うかのような声を漏らした。

『ふふ、良い匂いだな……人間、特に若い女の、清らかだが甘美な匂いは格別だ……』

ぞっとする言葉に、全身の毛穴が開くような感覚が走った。セーラー服のスカートの下、太ももが微かに震える。変身してしまえば一瞬で片付けられるだろう。だが、ここには私しかいない。そして、変身すれば、この学校に妖魔の存在を知られることになる。それは、私の平穏な日常を壊してしまう。あの日の〇〇を、また味わうことになってしまうかもしれない。

妖魔の影が、ゆっくりとこちらに近づいてくる。私は、咄嗟に机を盾にして距離を取った。しかし、妖魔はそれに構わず、その穢れた触手を伸ばしてきた。

「っ!」

私は素早く身を翻し、触手を避ける。制服のスカートが大きく翻り、その度に、鍛え上げられた足が僅かに露わになる。妖魔の視線が、私の身体に釘付けになっているのが分かった。清純なセーラー服の下に隠された肉体が、妖魔の欲望を刺激している。その事実に、私の身体は微かに熱を帯びた。

触手が、私の髪の毛を掠める。ひやりとした悪寒が、首筋を這い上がった。私はさらに教室の奥へと後退する。
窓際まで追い詰められた時、私はとっさに窓を開け放った。夕焼けの風が、教室に吹き込む。その風に乗って、私は妖魔の懐へと滑り込んだ。

戦士としての経験が、身体に染み付いている。変身せずとも、妖魔の動きを予測し、その隙を突くことはできる。妖魔の触手が、私の制服のブレザーを掴もうと伸びてきた。私はその手を掻い潜り、その黒い本体に、手元にあった消しゴムを思い切り投げつけた。

それは、物理的な攻撃ではない。だが、私の「存在」が、この学校の「日常」が、妖魔にとっては耐えがたいものだったのだろう。妖魔は、投げつけられた消しゴムに怯むかのように、一瞬だけ動きを止めた。

『くっ……! 貴様……!』

妖魔は苛立ったように叫び、さらに触手を伸ばしてきた。しかし、その動きは鈍い。私は、窓から吹き込む風を利用し、再び妖魔から距離を取る。教室の中を、妖魔の不快な波動と、私の制服が擦れる音だけが響く。

私は、息を整えた。身体は激しく脈打っている。制服のブラウスは、汗で背中に張り付き、スカートの裾は、激しい動きで乱れていた。乱れた制服の隙間から覗く肌が、ひどく熱い。しかし、この身体を、この日常を、私は何としてでも守り抜くと心に誓う。

妖魔は、じりじりと私に迫るが、その動きに焦りの色が混じり始めた。どうやら、この場所の「日常」の力が、妖魔の存在を弱めているらしい。
私は、妖魔の隙を突き、教室の出入り口へと一気に駆け出した。

『逃がすか!』

妖魔の最後の触手が、私の足元を狙う。私は、最後の力を振り絞り、跳躍した。セーラー服のスカートが大きく舞い上がり、太ももが空気に晒される。その瞬間、妖魔の触手は、私の足ではなく、私のすぐ後ろにあった机を叩き潰した。

私は、無事に廊下へ飛び出すことに成功した。妖魔は、そのまま教室の窓から、まるで水が引くように消え失せた。学校の日常の力に耐えかねたのだろう。

廊下に出た私は、壁に背を預けて大きく息を吐いた。身体は震え、汗が額から滴り落ちる。制服は乱れ、心臓はまだ高鳴っていた。スカートの裾は捲れ上がり、ストッキングを履いた脚が露わになっている。誰かに見られていないか、一瞬不安になる。

しかし、同時に、言いようのない高揚感が私を包んでいた。変身せずとも、この身一つで、日常の制服を纏ったままで、中級妖魔を退けたのだ。汗と、乱れた制服と、熱を帯びた身体。それは、私だけの、放課後の密室で生まれた、ひそやかな官能だった。

「ふぅ……」

私はゆっくりと呼吸を整え、乱れた制服を直した。スカートのシワを伸ばし、ブラウスの乱れを整える。再び、私は「ただの〇〇〇〇」に戻った。
窓の外では、夕焼けがさらに濃くなり、茜色の空が広がっていた。

その時だった。校舎の非常階段から、ギギギ、と不気味な音が響いた。何かが、ゆっくりと、しかし確実に、こちらへ這い上がってくる気配。先ほど退けたはずの中級妖魔よりも、はるかに濃密で、冷たい波動。

「まさか……上級妖魔……!?」

愕然とする私の目の前で、非常階段の扉が、ゆっくりと開いた。そこに立っていたのは、全身を氷の結晶で覆われた、禍々しい上級妖魔だった。その周囲には、触れたもの全てを凍らせるかのような冷気が渦巻いている。間違いなく、氷属性の上級妖魔だ。

疲労困憊の身体では、セーラーパイロに変身する力さえ残されていない。汗ばんだ制服が、肌に張り付き、その汗が冷気で凍りつきそうになる。私の心臓は、絶望的な速度で脈打った。

「人間ごときが、この氷の力を止められるとでも?」

妖魔の声は、まるで氷が擦れ合うような、耳障りな音だった。制服を纏ったままの私に、妖魔の冷たい視線が容赦なく降り注ぐ。その視線が、私の制服の隙間、そして、汗で透け始めたブラウスの向こうの身体を、じろじろと値踏みするように這い上がっていく。

「っ……」

私は、一歩、また一歩と後退した。しかし、もう逃げ場はない。廊下の壁に背中を打ち付けた時、妖魔は、鋭利な氷の刃を無数に放った。私は、反射的に目を閉じた。

制服の薄い生地が、バリバリ、と音を立てて裂けていく。氷の刃が、私の肌を容赦なく切り裂いた。太もも、腕、そして胸元。清純なセーラー服が、見るも無残に引き裂かれ、血が滲み出す。痛みと、冷たさと、そして、無防備な身体が晒される〇〇が、私を支配した。

「グアアアアア!」

妖魔は、勝利を確信したように、さらに嗤う。私の意識は、冷たい痛みに支配され、遠のいていく。引き裂かれたセーラー服の残骸が、私の身体に絡みつき、その哀れな姿を嘲笑っているかのようだった。

廊下の冷たい床に、私は、血と汗と涙に濡れた制服のままで倒れ伏した。夕焼けの光が、その無残な姿を無慈悲に照らし出す。日常は、かくもあっけなく、そして容赦なく、絶望に塗り潰されていくのだ。



第三話:紅蓮(ぐれん)の残滓と絶望の凍結

冬の夕暮れは、鉛色の空を凍てつかせ、街全体を冷たい帳で覆っていた。あの日の〇〇が、私を蝕んでいた。学校の廊下で、セーラー服を切り裂かれ、無力に倒れ伏した記憶。あの氷属性の上級妖魔は、私を弄ぶように嬲り、最後は凍りついたまま、置き去りにした。私の日常は、完全に破壊されたのだ。

私は、凍りついたビルの屋上に立っていた。身体は震え、心臓は凍りついているかのようだ。だが、瞳の奥には、燃えるような炎が宿っていた。私は、セーラーパイロ。炎の巫女、緋山篝。もう、二度とあの〇〇は味わわない。

目の前には、あの氷属性の上級妖魔が、嘲笑うかのように佇んでいた。その周囲には、触れたもの全てを凍らせるかのような冷気が渦巻いている。

「人間ごときが、この氷の力を止められるとでも?」

妖魔の声は、まるで氷が擦れ合うような、耳障りな音だった。私自身の身体も、まだあの時の傷が癒えていない。しかし、私の心は、あの〇〇を乗り越え、更なる力を欲していた。

「嘗めるな……! 私の炎は、お前のような冷気には屈しない!」

私は、両手で変身ブローチを強く握りしめた。冷気で強張っていた指先が、微かに熱を帯びる。

「変身! セーラーパイロ!」

その言葉と共に、身体が光に包まれた。学校制服の生地が、まるで弾けるように音を立てて消え去る。冬の冷気で強張っていた肌が、一瞬、無防備に空気に晒される。ひやりとした刺激が、全身の毛穴を逆立てた。だが、その直後、肌に吸い付くように滑らかな感触が訪れる。

(……ああ、この感触!)

それは、私の第二の皮膚、セーラーパイロの赤いコスチュームだ。光沢のある赤の生地が、身体の曲線に寸分の隙もなくフィットしていく。太ももを包み込むブーツの硬質な感触、グローブが手首を締め付ける心地よい圧迫感。胸元にぴったりと沿う生地のわずかな摩擦が、体温を上昇させる。冷気で強張っていた筋肉が、みるみるうちに熱を帯び、内側から力が漲っていくのを感じた。

「凍えるような夜に、悪しき力よ! 紅蓮の炎で、その穢れを浄化する!」

変身が完了すると、私は妖魔へと向き直った。両手から炎の渦を放つ。赤い光が夜の闇を照らし、氷の妖魔に迫る。しかし、妖魔は冷気を操り、炎を分散させてしまう。まるで、私の攻撃を嘲笑うかのように。

激しい攻防が続いた。私の放つ炎は、妖魔の氷の壁に阻まれ、妖魔の放つ氷は、私の身体を僅かに掠める。その度に、コスチュームがひやりと冷え、汗で張り付いた肌に鳥肌が立つ。しかし、その冷たさが、逆に私の身体を覚醒させるようだった。熱と冷たさの交錯が、全身の感覚を研ぎ澄ませる。

(このままでは……!)

私は、妖魔の冷気が最も薄い場所を探した。妖魔の周囲に渦巻く冷気は、まるで厚い膜のようだ。しかし、その氷の膜にも、僅かながら薄い部分があるはず。
私は、自分の身体の動きを極限まで研ぎ澄ませた。汗で滑る足元、息苦しさで張り裂けそうな肺、それでも私は、一瞬の隙を見逃さなかった。

「……今だ!」

妖魔が、さらに強力な氷の槍を放とうと、一瞬だけ動きを止めたその時。私は、全身の力を脚に込め、一気に跳躍した。赤いコスチュームが、夜空に鮮やかに映える。妖魔の放つ冷気の渦の中心を、私は真っ直ぐに目指した。

「紅蓮……パイロキック!」

回転しながら放たれた、渾身の蹴り。私の脚が、妖魔の氷の身体に、直接叩き込まれた。コスチュームのブーツ越しに、凍りついたような硬い感触と、そして、ひび割れるような微かな震動が伝わってくる。

「グアアアアアアア!」

妖魔は、断末魔の叫びを上げた。その身体に、私の炎が流れ込み、内側から氷を溶かし、蒸発させていく。まるで、熱い溶岩が、氷山を砕くかのように。
やがて、妖魔は悲鳴と共に、跡形もなく消え去った。

私は、地面に降り立った。身体は、激しい疲労と、まだ残るアドレナリンで震えていた。額から汗が流れ落ち、首筋を伝う。コスチュームは、氷の妖魔との戦いで、冷気に晒された場所が凍りつき、熱された場所が蒸気を上げていた。肌に張り付く冷たい生地と、内側から滲む熱が、奇妙な感覚を生み出す。

私は、ゆっくりと空を見上げた。鉛色だった空には、妖魔が消えた場所に、僅かながら星の瞬きが見えた。
セーラー服から、この戦士のコスチュームへと変容した私。それは、日常の私を脱ぎ捨て、より強く、より官能的な存在へと生まれ変わる瞬間だった。この熱い身体と、肌に吸い付くコスチュームの感触こそが、戦いを終えた私に与えられた、最高の褒美なのだ。

その時だった。私の背後から、さらに強大な妖魔の波動が迫りくるのを感じた。それは、先ほど退けた上級妖魔とは比べ物にならない、絶対的な冷気と、支配者の傲慢さを帯びていた。氷属性の幹部妖魔。

私は、振り返ることさえできなかった。セーラーパイロのコスチュームは、先の戦いで既に消耗し、エナジーは枯渇寸前だ。そこに、この最強の敵。

「無意味な抵抗よ、セーラーパイロ。お前の炎など、この氷の前では、塵芥(ちりあくた)に等しい」

冷酷な声が、私の耳朶(じだ)を打つ。そして、視界の端で、妖魔が手をかざすのが見えた。そこから放たれたのは、全てを凍らせる、絶対零度のブリザード。私は、為す術もなく、その冷気に飲み込まれていく。

セーラーパイロの赤いコスチュームが、瞬く間に凍りつき、音を立てて砕け散った。エナジーが枯渇した身体は、抵抗する力もなく、ただ、剥き出しの肌が冷気に晒される。痛みも、熱も、そして官能も、全てが氷に閉ざされていく。私の瞳は、絶望の色に染まりながら、ゆっくりと凍りつき、その光を失った。



最終話:紅蓮の灰燼(かいじん)と絶対零度の支配

街は、永遠の冬に閉ざされていた。氷属性の幹部妖魔、その圧倒的な力によって、全てが凍りつき、生命の息吹は掻き消えた。私は、凍りついたビルの屋上に立っていたはずだった。だが、セーラーパイロの赤いコスチュームは、既に砕け散り、私の身体は、もはやその形を保てていなかった。

凍てついたアスファルトに、私は、不完全なリボンレオタードの姿で、無力に横たわっていた。光沢のある赤のリボンが身体に食い込み、痛みと〇〇が全身を駆け巡る……はずだった。だが、その感覚さえも、もはや麻痺している。冷酷な幹部妖魔が、私の目の前に、傲慢な笑みを浮かべて佇んでいた。

「フン。その哀れな姿が、貴様の真の力か。もはや、見るに堪えぬ」

妖魔の声は、まるで氷が擦れ合うような、耳障りな音だった。私自身の身体も、もはや限界を超えていた。セーラーパイロのコスチュームが砕けた時、私を包み込んだはずのリボンレオタードは、既に原型を留めていない。何本もの紅いリボンが、燃え盛る炎を象徴するように、私の身体を僅かに覆っていたが、それは、妖魔の攻撃によって、次々と引き裂かれ、その光沢を失っていた。

リボンレオタードは、私の根源的なエナジーが具現化した姿。それは、純粋な力を表す一方で、**防御機能はセーラー戦士コスチュームに比べ著しく低い**。既に破れかけたレオタードは、冷気を遮断するどころか、より深く肌へとその冷たさを伝えていた。

妖魔が、巨大な氷の剣を生成した。

「もはや、貴様に抵抗する力などない。その脆い身体で、何ができる?」

妖魔が剣を振り下ろす。私は、破れかけたリボンレオタードを纏ったまま、必死に身を翻すことさえできなかった。剣の切っ先が、私のレオタードの肩を掠め、深く肉に食い込む……はずだった。だが、私の身体は、既に感覚を失っていた。

**「防御力の低下」**は、私を完全に無力にした。リボンが、次々と粉々に砕け散っていく。身体からエナジーが、ごっそり抜け落ちていくのが分かる。それは、まるで自身の存在が削られていくような、根源的な恐怖だったが、その恐怖さえも、もはや遠い。

(リボンが……壊されていく!)

リボンレオタードが破壊されるたびに、身体からエナジーがごっそり抜け落ちていく。それは、まるで自身の存在が削られていくような、根源的な恐怖だった。魔法力は不安定になり、指先から放とうとした光の球は、途中で霧散してしまう……その現象さえ、もう起こらない。

**「変身の不安定化」**も、今や意味をなさなかった。すでに変身は完了していたのだから。しかし、そのレオタードが破壊されることは、**「魔法力への影響」**を通り越し、私の存在そのものを消し去ろうとしていた。身体に巻き付いた妖魔のリボンは、もはや私の身体を縛るものではなく、私の残された「存在」を、貪り尽くす枷(かせ)となっていた。

「愚かなる炎よ、貴様は、この氷の中で、永遠に溶けることもなく、燃え尽きることもない」

妖魔の声は、勝利の冷酷な喜びに満ちていた。その瞳が、私という存在の全てを、完全に砕き、無に帰そうとしていた。

リボンレオタードの薄い生地が、燃えるように赤く輝きながらも、激しく裂けていく。肩から腕へ、そして胸元へ。身体のあらゆる部位が、灼熱の冷気に、そして妖魔の視線に晒されていく。光沢のある紅いリボンは、もはやその輝きを失い、ただ身体に絡みつく、哀れな残骸と化していた。

妖魔は、私の身体を弄ぶように揺さぶった。リボンが、さらに深く、私の肌に食い込む。いや、もはや肌は、妖魔の冷気によって凍傷を起こし、感覚を失っていた。残されたレオタードの破片が、私の身体から、まるで燃え尽きた灰燼(かいじん)のように、宙に舞い上がっていく。

「これで、貴様は、永遠に俺のコレクションの一部となるのだ」

妖魔が、さらにリボンを操り、私の身体を地面に叩きつけた。灼熱のアスファルトに、背中を強く打ち付ける。全身に激痛が走る……はずだった。だが、もはやその感覚もない。リボンレオタードは、完全にその機能を失い、ただの、肌を覆う壊れた布へと変わり果てていた。身体からエナジーが枯渇し、魔法力は完全に失われた。意識は薄れていく。

(……ああ……)

最後の意識の中で、私は自身の「終わり」を悟った。痛覚さえ失った身体が、ゆっくりと冷えていく。燃えるような赤のリボンレオタードは、もはや残骸となり、その光を失った。

幹部妖魔の醜い顔が、私の目の前に迫る。その口から、灼熱の息が吐き出される。それは、私を完全に支配し、飲み込もうとする、絶望の香りだった。

抗うことのできない絶望の中で、私の意識はゆっくりと沈んでいく。身体を這いずる冷気と、破壊されたレオタードの残骸が、肌に残す微かな感触だけが、私がまだ存在していることを告げていた。

幹部妖魔の歪んだ笑い声が、灼熱の夜闇に響き渡る。
紅蓮の光は完全に消え去り、その場には、ただ、燃え盛る炎と、そして無力に打ちひしがれた、一人の少女の残骸だけが残された。

街は、妖魔の支配により、紅蓮の炎と絶望に包まれた。
そして、その炎の中で、彼の歪んだフェティシズムだけが、静かに、しかし絶対的な存在感を放っていた。
もう、誰も、この絶望から逃れることはできない。

【DEFEAT and DESPAIR END】

※長い文章をお読みいただきありがとうございました。

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